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出血は完全に止まった。
まだ動くと鈍い痛みが残るが、一刻も早くここから逃げ出したい
俺は、引き出しに入っていた紺色のマントを拝借すると静かに部屋の扉を開けた
ローカは灯りが消えて思っていたよりずっと暗かった
1週間ここに滞在してわかったことは2時間おきにロウソクを持った執事が巡回しているということだ。
他にもきっと見張りがいるだろう
慎重にいかないと
俺はドアをそっと閉めて階段を探した。
今まで部屋から一歩も出たことがなかったからどこに何があるかもわからない。
無謀かもしれないけど、やるしかないんだ
肩の痛みを抑えながら必死に階段を探した。
『あった』
運良く階段はすぐに見つかった。
よし、このまま一階まで降りて、あとは出て行くだけ
俺はそのまま一階まで足早に降りていき、出入口を探した
流石に正門から出るわけには行かないよな
そう思い、裏口からこっそり抜け出した
思っていたよりずっと簡単だ。
と思ったが
「ど、どこだここ」
周囲は豪華な屋敷ばかりでどっちに行けば俺の住んでいた街があるのかわからない。
俺が住んでいた街が平民の街ならばここは貴族の街か
同じ国内とは思えない。
『くそっ、どうすりゃいいんだよ』
傷がズキズキと傷む
仕方ないとにかく歩くしかない
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もう1時間ほど歩いただろうか
完全に迷子だ
どんだけ広いんだよここ
ここまで何度も見張りに見つかりそうになり隠れながら進んできた俺の体力は怪我の影響もあってもう限界だった
たまらずその場にしゃがみ込んで目を閉じた
ダメだ。
こんなところで休憩したらすぐ見つかってしまう。
今すぐ立って動かないと
そう思っていた矢先
「おい」
と言われた目を開けた
そこには豪華な服をきた見慣れない男が立っていた
やばい
見つかった
「お前、平民か。何故こんなところにいる」
『いや、あの』
そう思って下を向くと、男が俺の顎を掴み上に向かせた
すごい酒の匂いだ
「ほう、なかなか整った顔立ちをしているな」
男はそういうと、俺の太ももを撫でてきた
何だこいつ、気持ち悪い
『やめろ!』
男の護衛と思われる2人組は後ろでさも当たり前というような顔をしている
「そう暴れるな。おい、こいつを馬車の中へ」
男が護衛にそう命令すると、足と手を掴まれ軽々持ち上げられてしまった。
まずいぞ
このまま馬車に乗せられたら何をされるかわかったもんじゃない
『離せって!!』
「無駄な抵抗はするな。私は欲しいと思ったら絶対手に入れる性分なんだよ」
男がそう言いながら馬車に乗り込む
俺も続いて馬車に乗せられそうになったその時
「お待ちください!」
聞き覚えのある声がして、護衛2人の手が止まった。
声がした方を見ると、そこにはアルマンが立っていた
「閣下、それは私の下僕でございます。この時間に迎えに来るように言ったのですが、不慣れな道で迷ったのでしょう」
あんなに高慢な態度を取っていたアルマンがこんなにも下手に出ている
きっとアルマンよりさらに身分が上の人物なんだろう
「伯爵の家の下僕?にしては初めて見る顔だな」
「はい、何分、姉上の嫁ぎ先からこちらにきましたので」
「ふん、おろしてやれ」
男が護衛の2人に命令し、俺は馬車に乗せられることなく降ろされた
「行くぞ」
男がそう言うと馬車が動き出した。
なんとか誘拐?されずにはすんだ。
でも、もう一つ問題がある
勝手に屋敷を抜け出し、こんな騒ぎを起こした
きっとアルマンはすごく怒っているだろう
おずおずアルマンの方を見ると
「もう遅い、乗れ、話は帰ってからだ」
アルマンは俺の睨みつけた
その顔があまりにも怖くて逆らうことができず
俺は言われた通り馬車に乗り込んだ。
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