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「おはよー」
「ん?どうした元気ないな」
次の日学校でロッカーと机の中を探してみたけど見つからなかった。本当どこにやったんだろう
無意識にワントーン声が落ちていたようで
教室で亮介は隣の席に座りながら首をかしげる
「イヤホンなくしちゃって」
「どんなやつ?」
「白のケースに入ったやつなんだけど、昨日鞄に入れてた筈なんだけど」
「出してないってことは落としたのかもな。俺もそれっぽいのあったら言うわ」
「うわーそうかも。ありがとう」
結局その日もイヤホンが見つかることはなかった。これはパクられたやつだ。売ったら1万くらいにはなりそうだしな
どこか落として誰に売られた、きっとそうだ
母さんになんて言おう・・今お金ないし買い直せないしなぁ
4限目後の休憩時間にピロンと携帯がなった。SMSからメールが受信されたと画面表示されている
普段からアプリでの連絡のやり取りしかしないのに珍しい
開くと知らないアドレスからで
『イヤホンありがとう』
と一文表示があった
なにこれ・・・
・・・誰がこんなこと?
ドキドキと驚きで心臓が激しく動悸するのを抑えて、声もでずじっと携帯を見つめる
メールの送り主が俺のイヤホン盗んだってこと?
「翔太どうした?」
亮介に話しかけられてはっとする
これを見られるのはまずい!と咄嗟に思いバッと顔を上げて今できる精一杯の笑顔をつくる
「なんでもない!!!・・・げっゲームの新しいイベントやるみたいでさ!」
「ん?・・そうなんだ」
不思議そうにこっちを見る亮介から視線をずらして、動揺を隠す
もしこんなメール来たってバレたら絶対また心配かける
いったい何でこんな事を・・俺への嫌がらせなのか?またいじめられるのか?
・・・また一人になる?・・また一人は絶対嫌だ
どうしよう。どうしよう。どうしよう
この日の授業は全く頭に入ってこなかった。すーっと神経が凝結したような気味悪さをずっと感じる。この教室の中にも、もしからしたら送り主がいるかもしれない
HRも終わり一秒でも学校にいたくなくて、すぐ鞄を肩にかけて教室を出た。下駄箱で靴に履き替えている時にまたピロンと携帯が鳴る
嫌な予感がしてぞくりと体が震え額に脂汗がにじみ出る。けどメールを確認する手は止まらない
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