アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
91
-
洗っても洗っても取れない手の汚れはいまだに感じているが、ずっと洗っていると手が赤くなってきて泣きはらした目からは自然に涙は止まり少し冷静になった
驚きとパニックで頭が整理できないでいたが、多分イヤホンを盗んだ人と同じ人で間違いないと思う。中学で受けていたいじめと違って陰湿で気持ちが悪い
誰か分からない人によるものだからもっと悪質だ
結局みんながいる教室に戻ることも出来ずに保健室に行く。養護教諭は俺を見て顔色が悪いとすぐにベッドを貸してくれた
なんでこんな事を・・・
今までとは違う嫌がらせに思い出すだけで鳥肌が立つ
気持ち悪い
ベッドに横になってぐるぐると嫌なことばっかり考えてしまっている時
あっ亮介待たせたままだったと思い出した
心配してるよなー・・
けどもうグラウンドにいく勇気もない。この学校にいる誰かが俺の事が嫌いでこんな嫌がらせをしてくるんだ。その誰かが怖い、何処にいるかも分からない誰か
少しだけ休んだら早退しよう
HRでクラスメイトと顔を合わせるのも嫌だ
*
「おーい」
・・・・ん?
「おーい!起きろ!」
誰かの声がしてゆっくり目を開ける
そこには心配そうにこっちを見ている亮介の姿があった
「・・どしたの?」
半分寝ぼけた状態での返事になった
「それはこっちの台詞だよ、もう7時だぞ」
「ぇええ?!」
がばっと起き上がり窓を見ると、カーテンの隙間から日差しが差し込んでいる風景はなくなっていた
それを見た俺は頭がクリアになった
「授業終わって来てみたら寝てるし、体調悪いんだろうし保健室の先生に部活終わってまた見に行くって言って、まさかと思ったけどまだ寝てるし」
「ごめん、ありがとう」
「・・・何があった?」
質問に対してぎくりと体が反応する
言えない、言いたくない。口に出したくない
「急にお腹痛くなっちゃって、けど寝たら良くなったよ!」
来てくれて嬉しい・・・涙がでそう
あと少しで涙が溢れるんじゃないかと思って我慢して、なるべく笑顔で答えた
「本当に?」
「本当だよ」
「・・・なんだよーー!めちゃくちゃ心配しただろ?!なんかあったんじゃないかって!謎の部活とか入ってるし、棗のやつもだし、神山だって・・はぁ・・心配なんだよ」
ベッドの端に座って俺を見つめてくる
自分は中学の時みたいに1人になると思っていた。だけど違う、いつも心配してくれてそばに居てくれる亮介がいる。今もこうやって心配してくれている、本当・・
「・・・ありがとう」
「・・・え?」
目を大きく開けて驚いている。その声で俺もこれがおかしい事だって自覚する
俺は亮介の頭を子供にするように、よしよしと撫でていた。
「あっごめん!」
「・・お前はすぐそういうことを・・・」
亮介はそう言いながら右手を口元に持っていき、顔を真っ赤にさせている
小学生の時弟によくしていた癖が、今も残っているみたいだ。流石に怒られるかもしれない
大丈夫かな?と表情を覗き込むとガバッと亮介の両腕に収まり抱きしめられる
「どしたの?!」
「・・・心配かけるなよ」
いきなりで驚き上ずった声がでるが、亮介の匂いと声に安心する
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
91 / 134