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「美術部の顔が長方形の人・・・ ??」
屈み込んでその顔をじっと見る
名前なんて覚えてないけど、美術部の見学に行った時にまるお君と一緒に写真を撮っている人だった
「しょっしょうたくーーーん!!!」
ストーカー男改め、顔が長方形の人が俺の手を取って泣きついてくる
ひぃ!・・・正直気持ち悪い・・
突然ドカッという音が鳴り、玲が足でその男を蹴り飛ばした
俺の手から顔が長方形の人が離れて、体ごと吹き飛んでいく
「気安く翔太に触るな、ゴミ」
ビビりたおして玲の方を見る
もうストーカーした男と同等に玲も怖い
「土下座して早く謝れ」
玲のドス黒い声が廊下に響く
「そこまでしなくていいからっ」
このままじゃ放っておいたら、殺されるんじゃないか?っていう思いで慌てて玲を止める
「えっなんで?今までされた事に比べたら痛くも痒くもないでしょ」
そんなことをさらっと言うお前が怖い!!
「俺は別に痛い目に合わせたいとか思ってないから!ただやめて欲しいだけでっ」
「翔太はゴミに対しても優しいね」
笑顔で言うけど、怖すぎて一瞬ピシャッと凍りついた
とりあえず本題に戻そう
長方形の顔の人は蹲って震えていた
「えっと毎日手紙入れてきたのって君だよね?」
「うん、それは僕だ・・・あの日初めて会った時本当にひかりんだと思った。けどその後学校で会うと僕はひかりんではなく君を意識してた。いろんな表情が見れて嬉しかった。毎日手紙を出して関われることが嬉しかった。手紙を読んでくれていることだけで幸せだった」
吹っ飛んだ長方形の顔の人がグスッと泣きながら答える
「手紙を読んでくれることだけって・・・俺の物がなくなったんだけど」
「そっそれはどうしても翔太君が使っている物が欲しくなって、放課後教室に行くと鞄が置きっぱなしになってたから、いつも使っている何かが欲しくなって、衝動的にシャーペンと消しゴムを・・・盗んでしまった・・・本当に悪かった・・」
シャーペンと消しゴムだけか?ということは、あの時逃げて行ったのはこの人だったんだ
「他にもなくなったし、SMSも毎日送られてきたのは・・・」
「僕は他に何も取ってない!!してからにSMSも知らない!」
あの監視したようなSMSは違う・・??
じゃあイヤホンと体操着は・・?
「この期に及んで罪を軽くしようとしてんじゃないの?」
玲の言っていることも一理あるが、今更そこだけ嘘をつく意味はあるのか?
「ほっ本当だ!!」
「本当に知らない?」
もう一回質問してみる
「僕は翔太君の連絡先は知らないし、本当は物を取るつもりもなかったんだ!!」
膝をついてそう訴えてくる姿に嘘はなさそうだった
「うーん・・・・わかった。信じる。その代わりもうあんな手紙出すのやめてもらってもいい?」
「翔太くん・・・!!!やっぱり僕が好きになった人は優しい・・・・君が好きだ!!」
すごい勢いで告白されたけど、無理だ
当たり前に無理だ
玲が頭の上に足を置き地面に叩きつけ、ドカッ!という音がする
いっ痛そう・・・
「お前は翔太の視界に入ることも許されないんだよ。ちゃんと言ってやらないと、そんなに甘いことばっかり言ってるから隙をつかれるんだよ」
「だって本人がそう言ってるんだから・・」
「僕は本当に翔太君が好きで!けどどうやって近づけばいいのか分からなかったんだ・・・」
その結果がこれなんて、だんだん不憫に感じてきた
俺は蹲み込んでぐずぐず泣く彼の目線を合わせた
「普通に話しかけてくれればいいんだよ、だいたい君の名前さえ知らないし。手紙じゃなくて口に出して普通に伝えてよ」
「っグスッン・・僕は宮田圭介・・・」
「うん、宮田君ね」
「翔太君が僕の名前を・・呼んでくれている・・グスッ」
「さすがに甘すぎるよ」
宮田君の頭の上から足をおろし、玲がため息をしてこっちを見てくる。
俺も自分が甘すぎると思うけど、手紙と筆記用具盗んだくらいならまだ!いやぁすごい千歩譲ってまだ!許せる
「ありがとう・・・!!」
「じゃあ立てる?」
宮田君は俺を見て涙を流し、さすがに泣き止んでほしいと中腰になり手を差し伸べて起き上がらせようとした
「ダメ」
その手をすぐ玲に取られて、玲の方に体がよろける
「うわ!」
「触るの禁止。もう犯人も分かったんだから、用はないだろ、早く帰りなよ」
「あぁ、ごめん」
宮田君はふらっと立ち上がり
「本当に翔太君ごめん・・・そしてありがとう」
と俺にお礼を言いその場を後にした
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