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117歪んでいく
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昨日のことがやっぱり夢だったんじゃないかと、ふわふわした足取りで家につきインターフォンを押す
少し待ったところで、ドアから玲が顔をだした
「いらっしゃい」
にこっといつものような完璧な笑顔が、俺を出迎える
「お邪魔します。あれ?今日も親いないの?」
家の中に入ると休日のはずなのに静かだった
「二人とも出張で海外行ってるから当分は一人かな」
「こんな広い家に一人だと寂しいだろ」
「今に始まったことじゃないからもう慣れたよ」
確かに小学生の時から家に遊びに行っても、親がいなかったもんな。玲の親って見たことがない。どんな親なんだろう?おそらく顔は絶対美形というのは間違いないだろうけど
「そんなもんなのか?それにしても綺麗にしててすごいよ」
靴は綺麗に並べられており、傷や汚れのない玄関を見て感心する
「ただ使ってないだけだけど、じゃあ先に俺の部屋行ってて。飲み物持ってくるよ、何がいい?」
「なんかごめん気を遣わせて、ありがと、なんでもいいよ」
「じゃあ適当に持っていくね」
二階にある玲の部屋に数ヶ月ぶりに入る
やっぱり綺麗で生活感がまるでない
モノトーンで統一されている家具たちに、無駄な物が全くない部屋は、たまにしか来ない俺にとっては綺麗すぎて落ち着かない
絶対に汚したらダメなような気になる
とりあえずグレーのソファーの端にちょこんと腰かける。無駄にそわそわする。それにしても何回見てもテレビでかいな、こんな大きい画面でゲームできるとか最高じゃん
何をすればいいか分からず、目の前の壁に設置してあるテレビをぼうと見る
というか何も考えずに玲の家にまた来てしまったけど大丈夫かな。前回来た時にヤラレそうになったよな・・。けど友達に戻ったし、前はストーカーから守ってくれたし大丈夫、だよな・・?今日の目的はゲームするだけだし、それなら小学生の時からずっとやってきたじゃないか
そう考えていると玲が飲み物と小さい白い箱を持ってきてくれた
「もしかしてそれって」
その白い箱の形を見ただけで分かる・・・ケーキだ!
「翔太が好きなケーキ屋のところで買ってきたよ」
「っうわー!すっげー嬉しい!ありがとう!」
「そんなに喜んでくれたら買ったかいがあるね」
テーブルで置かれたケーキの箱を開けると、何種類かケーキが綺麗に並んでいる。それを見るとさっきまで悩んでいたことが吹き飛んでいく
「どれにしよう・・、全部美味しそうだから迷うな」
「全部食べていいよ」
「いやそれはさすがに、一緒に食べよう」
「じゃあ一つだけ食べようかな、余ったやつでいいよ」
玲にそう言われ、どれにしようかと悩みまくって選んだ
王道のショートケーキ見て惚れ惚れしながら口に運ぶ。口いっぱいに甘い生クリームと、甘酸っぱい苺の味がする。スポンジもふわふわで、やっぱりここのショートケーキは最高に美味しい
「んー美味しい!なんだかんだ言ってもショートケーキが一番だよな」
「よかったね」
ぱくぱくと口に運ぶ俺に対して、玲はケーキに手をつけずコーヒーを飲む。俺も玲に注いできてもらったオレンジジュースを飲む
「うわ!このジュース美味しい!なんか高級な味がする!」
「普通のやつだよ」
玲はそう言うけど絶対高いやつだよ。俺の家にある百円くらいで買えるパックのジュースとはまるで違う。・・ごめん母さん
昨日あれだけ食べたのが嘘みたいに、他のケーキもすぐ食べ終えた
「美味しかったー、本当ありがとう!」
毎日こんなに美味しいケーキが食べられるなんて最高だ。最高すぎてなにか悪いことが起きるんじゃないかと思うくらい
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