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・・どうしよう
僕のお母さんがここに来ることない
嘘をついたことを言わないと
いつ本当の事を言えばいいのか、そればかりが頭をぐるぐると駆け回る
嘘をついたと分かったら、翔太君はきっと僕を嘘つきだと嫌うだろう
それが怖くて言い出せない
けどこのままだと永遠にこの公園に居ることになる
僕は何で嘘をついたのか自分を責め続ける。けど自分を責めたところでなにも状況は変わらない
「・・翔太君」
「んー?」
翔太君は砂場に作った城の横に穴を作っていた
「僕のお母さんはこない・・・ごめんね・・嘘ついた・・・」
「・・そうなの?じゃあ帰ろっか」
丸い目をもっと丸くさせて翔太君は、嘘をついたことなんて気にしてないような様子でひょいっと立ち上がる
思いもよらない反応で翔太君とは対照的に、僕は起き上がれないでいる
何で僕を責めないんだろう・・・
嘘をついて翔太君のお母さんと、弟を先に帰らせたのに
「まって!僕のこと嫌いになった?」
公園の出口の方に体を持って行っている翔太君を呼び止めると、くるっとこっちに視線が向けられる
「なんで?」
本当に不思議そうな顔がそこにはあって、それにもっと不思議に思う
「うっ嘘ついたからっ」
「嘘?・・ううん。そんなことで嫌いになるわけないよ。けど玲君は寂しい時は寂しいって言わなとダメだよ」
「えっ?」
「だって普通だったら転校して友達とも離れてちゃったら寂しいし、そんななかお母さんも、お父さんも帰ってくるの遅いなんて・・」
また翔太君は普通だと口にした
「だからもし寂しいって思ったら僕に言ってね」
にこっと屈託のない笑顔を向けられて、きゅっと胸が締め付けられる
キラキラした彼が眩しくて、僕とはまるで違う世界に生きているような感じがする
きっと翔太君は僕が寂しくて嘘をついたことを分かっている
「・・ありがとう」
「うん!じゃあ帰ろっか」
そう言って二人で公園を出た。その時には辺りは紫色になるくらい暗くなっていた
初めて予想もしない言葉を掛けられて、なんとも言えない感情だった
いつもだったら相手の反応をある程度予想して、動く事ができていたのに
翔太君は僕を特別扱いしない。僕は誰からも特別だと思っていたのに、翔太君にとって僕は普通なんだ。それは凄く新鮮だった
今までは出来て当たり前だという目が付き纏うような気がして、体が重かった。逆に出来なかった時はどういった評価をされるんだろうか。そう思うと怖くて怖くて仕方なかった
けど翔太君の前では僕は、出来ても出来なくても良いんだ
もっと彼を知りたい、もっと彼と話がしたい
家についてもその事で頭が一杯だった
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