アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
131
-
次の日から学校で翔太君の姿を目で追っている自分がいた
前まではクラスで何処の席だったのか思いだせないレベルだったのに
よく観察していると
「真紀ちゃん転んだところ大丈夫?痛くない?保健室から冷やすもの持ってこようか?」
「消しゴム忘れたの?僕の二つもってるから使って」
細かい気遣いを誰にでも出来ていて、よく周りを見ている
翔太君は誰にでも分け隔てなく優しかった
そう、だから僕に優しくしたのも他の人と何も変わりない
周りに優しくするように僕にも同じように優しくする
なんだろう・・・何か嫌だ
季節が冬になりバレンタインデーの日になった
僕はクラスのほとんどの女の子からチョコレートを貰った
周りからはクラスの半数以上が僕の事が好きだと言われる
チョコレートを渡す時に好きだと伝えてくる女の子もいる。その言葉にはありがとうだけ答えて、別に嬉しいとか嫌とかそんな感情はない
翔太君が数名の女の子からチョコレートを受け取っているのが目に入る。それを見ると無性に胸がざわざわする
翔太君は凄く嬉しそうで笑顔でそれを受け取る
・・・やっぱり嫌だ
翔太君に話しかけたいけど勇気もないし、周りのクラスメイト達に囲まれてタイミングがない
あの砂場で遊んだ日以来、特別仲が良いポジションではないけど話はするといった感じだ
今日は思い切って僕から誘おう
そう心に決めていた
学校が終わってクラスメイトの遊びを断り、翔太君の席まで行く
心臓がバクバクしながら声をかける
「翔太君」
「どうしたの?」
「今日この後僕と遊ばない?」
出来るだけ笑顔で言った。翔太君は眉を下げ
「ごめんね今日は勇太君に誘われてて・・」
誘うのが遅かったか。そっか、翔太君にとって特別じゃない僕は断られて、先に誘われた方と遊ぶに決まってる
「・・・ううん」
勇気を振り絞って声を掛けただけあってショックだった。それに自分から誘って断られた経験なんてない僕には凄いダメージだった。まず自分から誘うなんて行為が初めてだった
「あっ玲君も一緒に遊ぼうよ」
そう笑顔で言われたけど、今は笑顔で話せる自信もない
「いや僕は大丈夫」
そう言ってランドセルの肩ベルトを持って、とぼとぼ教室を出る
みんなで遊ぶ誘いを断った時、翔太君は凄く困った表情をしていたな
僕の所為で困らせてしまった・・
あの時は一緒になって遊ぶのが正解だった。どうも翔太君に対してだけ求められている対応が出来ない
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
131 / 134