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「お疲れ」
片付けが終わると、教師は僕にコーヒーを差し出した
しかしそれはコップではなく、ビーカーだ
「………」
僕が戸惑っていると、教師はクスッと笑った
その時に目尻にしわが入り、表情が一気に柔らかくなる
「これで飲んだって事は内緒ね」
イスに座った僕の近くにイスを引いて座る
コーヒーはブラックらしく、ほろ苦い香りが漂う
「…工藤くんさぁ、学校嫌い?」
「え…」
「嫌いっていうか、来辛いって言った方がいいかな?」
そう言って教師は首を傾け、自身の首筋を差した
今はもう消えているけれど
それはキスマークの事だとすぐにわかった
「まぁ、来辛いよね」
そう言って教師はまた笑った
「やっと来たなって思ったら、すぐ早退しちゃうし
暫く来なくなっちゃうし…」
よく見れば、眼鏡の奥にある瞳は優しそうな色をしていた
柔らかい表情を浮かべる教師に
僕はほんの少しだけ警戒心が解ける
「もし教室に居辛いなら、ここに来ていいから」
「………」
「ね」
そう言って教師は一口コーヒーを飲んだ
平和そうな顔をして
大人の寛大さを見せつけられ
僕は内心腹が立ったが
何故か拒めずにいた
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