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4 ガチャ
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「あはは〜。呑気ですねぇ。でもざーんねん。あなたが恋人にされたことの一覧には、浮気との表示がありますわぁ。」
ここね、とさされた壁に俺の読めない字。分かるかよ、嘘だろ、絶対。俺のことからかってそんなに面白いか。
「そんな睨まないでくださいよ〜。俺だって仕事なんです。」
「・・・っ、ううっ」
泣きたくないのに。こいつなんかの前で。馬鹿にされて、新しい事実も知って。浮気?じゃあ、たまにデートをドタキャンされたり、家にあげてくれない日があったり、俺には連絡なんてしないくせにいつも携帯ばかり触ってたのって・・・なんだ、いっぱいあるじゃん。
ここに来る前にみた八尋の姿に、ちょっとだけ希望を持ってたのに、それすら壊された俺はしゃがみこんで泣いた。でも、月太郎は慈悲すら俺に与えない。
「めんどくさいなぁ。」
機嫌悪そうにそう言う月太郎に、もう反抗する気力すらなかった。恋なんてしたことないんだろ。今までだって幸せに生きてきたんだろ。こいつには一生わからないんだ。
「はぁ。だったらその男に復讐すればいいじゃん。」
睨みつける俺に、月太郎は呆れたようにそう言った。
「は?どうやって。」
「幽霊特典だよ。」
何も無い空間に突然手を突っ込んだと思ったら出てきたのは俺の半分ぐらいの大きさのガチャ。
「はい、お金入れて。」
「お金?俺持ってない。」
「マフラー外して、近づけてよ。」
言われた通りにすると、マフラーが5枚のコインになり、床に落ちる。拾い上げると、コインには月太郎の顔が書かれていた。気持ち悪い。
「あれ?5枚?なんでそんな多いんだろ。まぁいっか。それ入れて。」
赤いマフラーは俺の大事なものだった。いや、一度捨てようとしたんだ。もういい、お金なんて入れてしまえ。5枚全てを入れ、ガラポンを回すと、白く輝く大きなカプセルがでてくる。半径2m以上もある巨大なカプセル。開ければ余裕で人間が何人も入れる大きさ。どうやったらあの小さなガチャからこんなのがでてくるんだ。
「でっか・・・」
「あれえ?」と、ガラポンを出した月太郎も首をかしげているが、手を触れるようにと言う。
言葉通りそのカプセルに触れると、パカッと開いて中から光が溢れ出してくる。波みたいにそれは押し寄せてきて、体の周りに巻きついていく。不思議と息はできるし、苦しくもない。ただ光が体の中に入ってくるのがわかるだけ。
全ての光が無くなると、月太郎が水晶を持って近づいてきて、手をかざせという。
「あらら。」
「おい、これなんだよ。」
「復讐できちゃうかもね。」
「は?」
「君の能力は『give』。誰かに何かを与える能力だ。」
与える能力・・・。
「言い忘れてたけど、能力使い終わったら君の魂は僕が頂くよ。」
「は?」
「ガチャを回す条件だからね。」
そう言って月太郎は高らかに笑った。
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