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バッヂの効力
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生徒会役員に選ばれた俺達は、放課後、職員室に呼び出されて、生徒会顧問の佐々木先生から金のバッヂを渡された。
胸元につけると、すぐにその効力の恐ろしさを思い知ることとなった。
女子「キャー生徒会よ!!」
男子「やべぇ~俺らとは輝きが違う…」
俺達が歩くと、賑わっていた廊下にサッと道ができていく。羨望の眼差しを浴びながら廊下を歩くのは少し照れくさいが、嬉しくもあった。
本当に世界が変わってしまったみたいだ。
ハルキ「俺らスゲェ人みたいじゃね?」
サトル「ホントだね~」
カズマ「静かに生活したいのに…」
金のバッヂを付けてからというもの、放課後だけでもその力がものすごいということを知った。
サトル「知ってる?生徒会ってそれぞれにファンクラブがあるんだって~。写真集とか出てるらしいよ。」
カズマ「あぁ知ってる。学校の宣伝も生徒会の仕事だし。俺達も頑張らないとね。」
ハルキ「へぇー。ファンクラブ…かぁ…」
ついに俺にもモテ期が来るのか…
サクラちゃんも俺のこと好きになったりして…。
女の子が死ぬほど寄ってくるなら俺の童貞卒業も目の前だな…!!わーっはっはっは!!
サクラ「ハ、ハルキくんっ!///」
早速女子から声がっ!
声の方を振り返ると、クラスのマドンナが立っていた。
サ、サクラちゃんっっ!!どうしよう俺何話せばいいのか…
ハルキ「お、おう!どうした??」
サトルとカズマには先に帰ってもらい、俺は彼女と向き合った。
サクラ「生徒会に入ったんだよね!凄いなぁ~。ハルキくんってすごい人だったんだね!見直しちゃった!」
キラキラした目で俺に近寄ってくる彼女に心臓がバクバクと音を立てる。
もう抑えられないこの気持ち。
いつも夢だけで話せたマドンナが、今俺に話しかけてる…。す、すげぇ生徒会…。
ハルキ「サクラちゃんっっ!!俺、俺……ずっと前から好きだったんだ!!」
拳を握りしめてそういった俺の声は、廊下に響き渡り、生徒みんなが振り返り、俺たちに注目する。
つい勢いで言ってしまったが、この際だからもうどんな形でもいい。今ならサクラちゃんを俺のものにできる気がする。俺の初めては、サクラちゃんだと決めていたんだ!!
サクラ「ほんと?!嬉しい!!でもハルキ君には黒瀬会長がいるんでしょ?」
ハルキ「アイツとは何も関係ないよ。俺が好きなのはサクラちゃんなんだから!」
ぐっと彼女の手を掴んだ。
そんな俺に少し眉を下げる彼女…
サクラ「でも…」
ハルキ「好きなんだ!!」
サクラ「でも、私彼氏がいるの。ごめんなさい…それに、異性同士で付き合うのってヤバくない?私はちょっと…無理かな汗」
俺の初恋はたった3分の間で散った。
彼女は俺が掴んだ手を離れて、俺に背を向けてしまった…。
勢いとはいえ本当に好きだった人…。
好きの一言で彼女は俺から遠ざかっていく。あぁ…終わったんだ…。しかもちょっと引かれた…。
レン「そう落ち込むなよハルキ。」
突然後ろから聞こえてきた声にビクリと肩を揺らす。しかし、今一番聞きなくない声にイライラが止まらない。
ハルキ「お前はいいよ。振られたことなんてないんだろ!俺の気持ちが分かってたまるかよ!ほっとけ!」
レンの方には一度も振り向かず、俺は足早に去った。
あぁもう最悪。
レンに振られるところを見られるなんて。
アイツ…絶対に俺を嘲笑ってやがるだろうな。
一人で家に帰ると、何もせずに自分の部屋に閉じこもった。さっきのことが頭から離れない。後悔しても遅いのにな…。もし時間を戻せるなら…。
そんなこと出来るはずもないのに…
ベッドに仰向けになると、静かで薄暗い部屋の天井が見える。
あぁ…もう……。
勝手に涙が溢れてくる。
制服に輝くバッヂ…
それすらも、レンを思い出して嫌になる。
俺は引きちぎるようにバッヂを外して、床に投げ捨てた。
こんなもの無かったら…彼女が俺の元を去っていくことは無かった。まだ、好きだって伝えなければ、影から見ることだって出来た。
なのにっ……
とめどなく流れる涙を左腕で押さえつけた。
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