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リアリティ
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目を開けて一番に目に入ったのは、真っ白な天井だった。
ここは見覚えのない場所……。
俺はベッドの上に寝かされていた。
そっか……撮影中に意識を失ったんだ…。
朦朧とする意識の中で、またカメラが見える。
近くにレンの姿はなく、いるのは俺とカメラが1人、そして監督だけ。
急に不安になった俺は起き上がって、レンを探すように部屋の中を見渡した。
監督「急遽撮影場所を変えさせてもらったよ。あぁ。黒瀬会長なら個人の撮影に行ってるよ。さぁ、川上君も起きたことだし、撮影再開しようか。」
不敵な笑みを浮かべる監督とカメラマンに、ゾクリと背筋が凍る。自分の体を見てみると、さっきまでが夢であるかのように綺麗になっていて、さらに別の衣装を着せられていた。
その衣装はこの学園の制服だった。
しかし、胸元のボタンは留まっておらず、前は開きっぱなしで胸や腹が見えたまま。なぜこの服なのか疑問に思った。写真集なら普段着ないような服を着た方が珍しさがでる。だからさっきメイド服を着せられたのだと、そう思っていた。
監督「なぜ制服なのか。そう言いたそうな顔してるね。もちろん他のみんなは制服以外の衣装を着て撮影しているよ。……川上くんだけは理事長からの指示があって制服なんだ。その方がリアリティがあるからってね」
理事長…
俺はゴクリと喉を鳴らした。
そうだった。この写真集は理事長も見るんだ…。
もし俺が今よりも理事長気に入られるようなことがあれば、何をされるか分からない。あの人の権力を持ってすれば生徒の一人やふたりどうにでもされてしまう。
ガチャ
突然扉が開いた。
そこには………
背の高いイケメンが立っていた。
レンに勝るとも劣らないその美貌は、見るものを引きつける魅力が溢れ出していた。レンよりも成熟した大人の魅力を持つその人は、俺のベッドのそばにあるソファーにゆったりと腰をかけた。
監督「これはこれは…理事長自ら見学されるのですか!」
理事長…
この人が…?!
ハルキ「あ…あの………」
ハヤト「あぁ。初めてだったね。僕が理事長の佐々木ハヤトです。保険医の佐々木アヤトは知ってるね?あれの父親なんだ。」
そっか…佐々木先生は理事長の息子だって言って女子が盛り上がってるの見たっけ…。
でもこの人……父親に見えない……だって見た目は20代後半から30代前半だろ?
ハヤト「アハハ…信じてないね。まぁ初対面だしお互いのことはこれから良く知っていこう。ここは僕の部屋だしくつろいでね。ところでその身体中についたキスマークは誰につけられたんだい?」
顔は笑っているのに目が笑っていない。理事長の目は俺を捉えて離さない。そんな身に見つめられてはダメだと思い、すぐに目を逸らした。理事長はきっと俺から答えを聞かなくても誰に付けられたかなんて分かっていたと思う。俺は怖くなって答えられずにいた。
監督「じゃあ撮影始めます」
監督からベッドに横になるよう指示され、素直に従った。この調子だと、さっきまでの様なハードな撮影という訳では無いみたい。
少しはだけさせられた俺をカメラは捉えていく。
ここにいては危険だと思い、早く撮影が終わるよう祈った。
理事長「さっきから僕のこと警戒してるみたいだけど、何もしないよ。安心しなさい笑」
確かにこの部屋に来てから理事長は俺に触れていないし、近づいても来ない。
レンに初めて襲われた時のような恐怖も感じない。なぜだ…もしかしてレンの言ったことは嘘…なのか?
よく考えれば、理事長ともあろう人がこの学園の中から一人の生徒に目をつけるなど無理な話だ。そもそも生徒も先生も理事長とはほとんど会うことなく卒業していくのだ。こっちが知らないのに向こうが知ってるはずがない。
そう考えると、途端に安心できた。
その後何事もなく撮影は終わり、結局理事長とは何も無かった。
撮影後……
ハヤト「撮影お疲れ様。2人で少し話さないか?」
ハルキ「は、はい!」
撮影では手を出すどころか、どのようにすれば綺麗に映れるかとか、細かいアドバイスをくれて、俺の心確実に開こうとしていた。
二人は向かい合うようにソファーに腰を下ろした。
ハヤト「学校は楽しい?」
ハルキ「はい。とても。」
ハヤト「実は、君が入学した頃から目を付けてたんだ。驚いた?汗」
ハルキ「え……」
やっぱりレンが言っていたことは本当だったんだ。
ハヤト「でも変な意味じゃないよ!!君には人を引き付けて、人の前に立てる才能があると思ってたんだよ。黒瀬会長みたいにね。成績や経験はまだまだ彼に劣るけど、君なら彼を超える優秀な人物になれると僕は信じている。」
しっかりと目を見据えてそう強く言われると、本当に俺が優秀な人物なのではないかと勘違いしてしまいそうになる。
ハヤト「黒瀬会長には去年から言ってあったんだけど、断られてしまってね。きっと君に超えられると分かっていたから嫌だったんだろうね。彼もプライドが高いから…そうだ…これ…」
見せられたのは大量の写真だった。そこに写っているのはレンと、見ず知らずの男の人たち。
生徒から社会人まで年齢は様々に見える。
その人たちと…ヤってる写真…。
どの人のにもレンのが入ってる………。
俺を愛してるって言ったのは嘘…。
理事長が俺にやましいことをしようとしてるなんて酷い嘘までついたのか…?理事長はこんなにも素晴らしい人だ。俺という人間を見て、期待して、信じてくれている。
レンは俺のことなんて見ていなかった。自分の欲望のまま俺を犯して、自分のものにした。性処理の道具にしたんだ…。
こんなのどちらの言い分を信じるかなんて、誰が見ても分かる。
ハルキ「俺……勘違いしてました。理事長がこんなに素晴らしい人だったなんて……ごめんなさい。勝手に思い込みで警戒なんかして……」
ハヤト「いや。いいんだ。初対面なら誰だって警戒するだろう。もし君さえよければ、これからも理事長室に来て私の話し相手になってくれないか?」
ハルキ「もちろんです!!」
俺は理事長室を後にして、みんなが待つ待機場所へと戻った。
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