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王子
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ドンッ
ハルキ「す、すみません。」
ボケェーっとしていたから人にぶつかるんだ。こんなに観光客が多いんだ。しっかり前見て歩かねぇとな。
ぶつかってしまった人に頭を下げて、俺はその場を立ち去ろうとした。
サイード「……なんと美しく妖艶な………。タハ。寝間の用意を」
タハ「かしこまりました」
ガシッ
突然腕を掴まれたかと思うと、俺の体が傾く。
夏の太陽ってこんなに眩しかったっけ。
チュ
ハルキ「…………ンンッ…な、何を…!」
サイード「日本人か。良かった。日本語なら話せる。お前、名前は?」
そう言って俺の腰を抱き寄せるコイツ。
小麦色の肌に、深い緑色の目、漆黒の髪。すらっと背が高く、程よい筋肉がついている。その筋肉に映えるように、目の色とおなじ緑をあしらった黄金の大きなアクセサリーが耳にも首にも腕にもかかっている。
ハルキ「ひ、人に聞くときは先に自分からだろ」
そのエキゾチックななりに、俺は一瞬で目を奪われていた。
サイード「あぁ。そうだな。私はサイード・ムフタール。サイードと呼んでも構わない。」
ハルキ「………川上ハルキ。じゃあなサイード」
こいつのと出会いはこれで終わるはずだった。
サイード「待て。」
サイードは俺を横抱きにして抱えあげると、ぐっと顔を近づけた。
サイード「やはり美しい……。決めた。お前を我が妃としてムフタール国に迎えよう。喜べ。」
ハルキ「はぁ?!そんなの無理に決まってんだろ!」
サイード「なぜだ。私にこれを言われて喜ばない者はいないぞ。お前にとっても最高の栄華だろう。」
ハルキ「嫌だっ!それに俺には………婚約者…が…///」
2人を婚約者だってのは認めてないけど、こういう時にはしっかり利用させてもらおう。嘘は言ってないよな。それにしても婚約者とか自分で言うの…恥ずかしすぎ…//
サイード「何。…婚約者……………ならば私もその婚約者の1人となろう。それなら問題はなかろう。」
一瞬眉間に皺を寄せたが、すぐに思い立ったようにサイードは続けた。
ハルキ「問題大ありだよ!とにかく下ろせ!!」
サイードの腕の中で精一杯暴れても、俺とこいつの間には圧倒的な力の差があり、ビクともしなかった。
サイード「どれだけ嫌がってもすぐ私のものになる。強情なお前が私の与える快楽に溺れて啼くのが楽しみだ。タハ。薬を。」
タハ「どうぞ。サイード様。」
サイードはタハと呼ばれた少年から小瓶を受け取ると、それを俺の口に突っ込んで、鼻をつまんだ。
飲んではいけない。そう思っていても、鼻を塞がれたせいで息が出来なくなってしまった。
そしてとうとう、その怪しい薬が俺の喉を鳴らした。
ゴクッ
なんだこれ……
眠っ…
視界が歪み、サイードが笑みを浮かべたのを最後に、俺は深い眠りの世界に落ちていった。
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