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座談会
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俺の目の前に座る、宝石のように美しい男性はマヒロさん。ムフタール国のお后様。
年齢は32才らしいけど、とてもそうは見えない。
亡き先代の花嫁としてここに来たのは、10年も前の事。先代が日本訪問中にマヒロさんに一目惚れして、猛アタックしたのだとか。
ハルキ「どうして亡くなられたんですか……」
マヒロ「彼は、末期ガンだったのです。私には、最後まで言わなかったけれど…」
ガン……
マヒロさんの目には涙が浮かべられていた。俺は、かける言葉が見つからなくて、ただただ下を向いた。
マヒロ「でも、カサド様と過ごした10年は、私にとってとても幸せだった…。だから、ハルキさんにもサイードと幸せになって欲しいのです。カサド様はサイードの王位継承を望んでいました。だから…」
とても愛おしそうに話すマヒロさんを見て、本当に心からこの国とカサド国王のことを愛していたのだと伝わってきた。
ハルキ「俺も、ルシールって人がどんなやつか知らないけど、サイードならいい国王になれると思ってます。」
バンッ
突然開かれた扉の方を見ると、黒い布を纏った屈強な男達が俺たち2人を取り囲んだ。
男達の手には鋭く光る刀が握られている。
どうしよう。お后様だけでも守らねぇと…。
ルシール「これはこれはお久しぶりです。お后様。おや、お茶会中でしたか。そちらは、サイードの恋人と噂のハルキ様か?」
ニヤリと笑みを浮かべる男。
サイードの面影があるが、雰囲気が全然違う。
緑の布をまとったサイードに対し、ルシールは黒をまとっている。
ルシールは俺たちと同じテーブルの席につくと、舐め回すように俺たちをじっと見つめた。
マヒロ「何の用です。あなたが宮殿に入ることは許されていないはずです。」
強い口調でマヒロさんが言う。
ルシール「そう私を睨まないでくださいよ……お后様。…あぁ……相変わらず美しい…。弟にはやはり勿体ないお方だ。弟が死んで、心細いのではありませんか?恐れながらこの私が、お后様の旦那になりましょう。」
マヒロ「っ!お断り致します。私の心も体も、永遠にカサド様のものです。あなたのものになどなる気はありません。」
ルシール「ならば、ハルキ様を私の元に迎えましょう。まだ結婚していないのでしょう?サイードなんかよりずっと、良くしてあげますよ?」
ハルキ「っ!絶対に嫌だ!」
ルシールは突然態度を変えて、俺たちを睨みつけた。その殺気だった目に、俺は一瞬怯んだ。
ルシール「連れてこい」
彼がそう言うと、俺を囲んでいた男達がタハを拘束し、連れてきた。
ハルキ「タハ!!」
ルシール「この従者がどうなっても良いということですね?」
ハルキ「っ…」
タハ「ハルキ様!僕はどうなっても構いません!サイード様のお傍に!!」
タハの首元には、鋭い刀が添えられている。
きっと怖いはずだ。口ではそう言っていても、声が震えているし、目にも涙を浮かべている。
タハを見殺しになんてできない。
しかし、ここで従えば、こいつの思うつぼ。
どうすればいい…
ルシール「私のものになる。ただ一言そういえばいいのです。お二人共、そんな強情を張っていても、いずれ私の手の中に落ちるんですから。」
こいつの狙いは、サイードから俺を奪い、結婚という必須条件を失わせ、お后様を自分のものにして、国民からの支持を得て王権を勝ち取ること。
ルシール「早く言わないと、この子をここでこいつのものにしますよ?」
ルシールはタハを抑えている男を顎でさした。
まだ幼いタハをてきとうに選んだ男のものにさせるなんて許せない。タハにも選ぶ権利がある。
ルシール「やれ」
ルシールがそう言った瞬間、男達はタハに群がった。纏っていた衣をどんどん剥がされていく。
必死に抵抗していても、全く無意味だった。
タハ「やめろ!!離せ!!嫌…嫌だ!!!離せ!!!」
ハルキ「やめろ!!」
気がついた時には、立ち上がって声を上げていた。
ルシール「おや?どうされたのですか?そんなに怖い顔をして。せっかくの可愛いお顔が台無しですよ?」
ハルキ「タハを離せ」
ルシール「物事には頼み方というものがあります。彼を助けたいなら、しっかり言ってください」
タハ「ダメですハルキ様!!」
タハの叫び声が部屋中に響く。
ハルキ「………………っ」
ルシール「早く言わないと、続きをしますよ?」
ハルキ「っ…お前のものになる…だから、タハを離せ」
俺のその言葉通り、タハは解放された。
マヒロさんも、恐怖で腰が抜けて、何も話せないくらい放心していた。
ハルキ「タハ…無事か?」
タハ「僕は大丈夫ですから逃げてください!ハルキ様!!」
ハルキ「俺は逃げねぇよ。またお前が酷い目に合うかもしれねぇだろ。タハ、マヒロさんを頼む。俺なら平気だから。」
タハ「ハルキ様……泣」
俺は両手首を縛られ、そのままルシールの馬車に乗せられて宮殿をあとにした。
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