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抱きしめて
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レンに解放されたのは2時間後。
あたりはもう暗くなっており、学校の人けも無くなっていた。
今日はハヤトさんの所に行かないといけないんだよな。俺、もう無理だ。
レンと触手に散々嬲られ、いたぶられたから何も出ない。
ピーンポーン
ハヤト「ハルキ、よく来たね。ん?随分疲れてるみたいだけど、大丈夫?」
ハルキ「ハヤトさん…今日はもう、無理……。」
ハヤト「かなり疲れてるみたいだね。ほら、おいで。抱きしめてあげる」
俺は素直に、広げられた両腕の中に納まった。
俺より背の高いハヤトさんの胸は、やっぱり居心地が良くて、レンとは違う安心感がある。
これが大人の余裕ってやつかな。
なんつって……笑
ハヤトさんは俺を横抱きにして、そのまま風呂に運んだ。
まるで3歳の子供のように、服を脱がせてくてたり、頭を洗ってくれたり、世話を焼いてくれた。
浴槽に2人で浸かると、背中をハヤトさんに預けた。
後ろから抱きしめてくれる腕が温かい。
これはお湯が温かいのもあるかもな。なんて考えたりもしながら、2人の時間を過ごす。
ハヤト「ハルキ…そろそろ、黒瀬会長か僕か、答えが欲しいな。」
そう背中でつぶやく声が悲しげで、俺は振り返ることが出来なかった。
どうしたいのだろうか。
レンは冬休みが終わって少ししたら卒業する。
それはつまり、繁殖パートナーが割り当てられるという事だ。
20歳の誕生日を迎えれば、そのパートナーと共に施設に入れられ、相手が身ごもるまでは出てこられない。
パートナーとは過ごすうちに打ち解けて、情も湧くと言われているし、子供が成長するまで、一時的に家庭を持つ事はよくある話。うちの親もそう。
つまり、レンとは何年も一緒にいられない日々が続くということ。
ハヤトさんはもう家庭も持っていないし、パートナーの話も聞かない。ということは、円満に終わったのだろう。
俺だって来年には卒業する。ハヤトさんともそこで1度縁が切れる。
パートナーも割り当てられる。
残された時間はもうほんのわずか……
ハヤト「そんなに思い詰めなくていいよ。辛い顔をさせるために話したんじゃない。僕はパートナーが割り当てられる前に、君を僕のものにしたいだけなんだ。それは、黒瀬会長も思っている事だよ。」
俺だって……レンにパートナーができるのは嫌だ。
ハヤトさんも話さないけど、パートナーがいたんだと考えるだけで心が痛い。
風呂から上がって、ベッドに並んで横になった。
このベッドで眠るのは、何回目だろう。
ハヤト「ハルキ……好きだよ。」
ハルキ「……」
ハヤト「本当はね、僕を選んで欲しいって思ってる。だけど、君には誰よりも幸せになって欲しいから、黒瀬会長を選んでも、僕は応援する。」
ハルキ「……」
ハヤト「僕は大丈夫だから。」
少し声が震えている気がする。
ハルキ「ハヤトさん………」
ハヤト「だから……
…
…
……もう、僕のところには来なくていいよ。」
俺を抱きしめたハヤトさんの腕に力が込められる。
まるで本心を表すように。
しかし、大好きな腕が、俺の体を離れていく。
何も言えない。
何も出来ない。
こんなに胸が締め付けられるように苦しむなら、初めから好きになるんじゃなかった。
この人と出会わなければよかった。
いや、違う。
出会えたから、俺は幸せな時間を過ごすことが出来たんだ。
そして、レンの事を好きだということも気づけた。
レンに会いたい。
今すぐレンに、好きだって伝えたい。
ハルキ「ハヤトさん…俺、帰ってもいいですか…」
ハヤト「………聞かないで。返したくなくなるからさ。ほら、行きなよ。振り返らずに…」
ハルキ「……ありがとうございました」
俺はハヤトさんの部屋を出た。
辺りはもう暗い。
店の明かりや街灯に照らされた、帰路につく人々の中を全力で走った。
後ろは一度も振り返ることは無かった。
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