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突然言えば口を塞がれる前に伝えることも出来るのに、
そう出来ないのは俺が弱いから。
嫌われるのが怖い。
臆病で情けない自分が悔しい。
けどそう割り切らないと頭と心がバラバラになりそうで、そうするしかなかった。
「あ、いたいた!どこ行ってたんだよ、早く買い出し行こうぜ」
「うん、ごめん」
教室に戻って文化祭準備に参加する。
授業がないのはとても嬉しいし、みんなとこうしてるのも楽しい。
それに…まさか誘ってくれるなんて思ってなかったから当日がめちゃくちゃ楽しみで
にやけそうな顔を抑えるのに精一杯だ…
「…なーんか最近和変わったよな」
買い出しに来てたメンバーの中に悠太郎もいて、二人で並んでカートを押しながら歩いてるとそんなことを言われた。
「どういうこと?」
「いや、悪い意味じゃねえよ?なんつーか…前にも増してふわふわ感が…」
「何それ」
うーんと首を傾げてる悠太郎に笑いながらお目当てだったお好み焼き粉をカゴに投げ入れる。
「あー!!わかった!!!」
「うるっさいな…、声もう少し抑えて」
突然叫ぶから耳がキーンとする。
運動部の声のでかさ尋常じゃない…(俺も運動部だけど)
「お前彼女出来たんだろ!!そうだろ!!」
「は、はぁ?」
「そうだ!!なんか色っぽくなった!!絶対そう!!」
「いや…」
「いつの間に?!ずるいぞ!!誰だよ教えろ!!」
「ちょ…悠太郎落ち着いて…」
肩を掴まれてガクガク揺さぶられる。
力強いんじゃ…馬鹿力め…
とりあえず店の中だし、やめさせようと悠太郎の腕を掴んだらぴたっと動きが止まった。
じっと見てる…けど、何を?
そう思って目線の先を追ってハッとした。
「お、おま…それ…」
「え、あっ…」
ワイシャツを掴んで揺すられたから首のとこが拠れて、さっき付けられた真新しい痕が見えてしまってた。
「それってキスマークだよな?!え?!」
「え、えっと…」
「どういうこと?!あっ、だから最近腰痛めて…」
「うるさい!」
悠太郎は部活馬鹿だからこういう事に慣れてないらしく、めちゃくちゃ興味津々に聞いてくる。
あーもう!だから面倒くさくて嫌なのに…
「痕付けたい」なんてあの天使の笑顔した絶倫飼い主が言うから…っ
(これは…逃げるが勝ち!)
力が緩んでる隙に悠太郎にカートを押し付けて今持てる最大の脚力で全力疾走した。
「っあ!!おい!!逃げんなこら!!!」
「ちゃんとそれお会計しとけよ!!」
学校からそんなに離れてないスーパーだったからそのまま走って戻ってきて一番近い一階のトイレに入る。
「はぁ…はぁ…、」
流石にずっと全力で走ると息が上がる…
ワイシャツの第二ボタンを外して前を少しはだけさせて鏡で確認する。
「…ったく…、付けすぎなんだよばか…」
赤い痕が何個も付いてて手で隠すように押さえる。
顔が赤いのは、走って熱いだけのせいじゃない…
(…俺なんて顔してんだろ)
鏡に映った自分を見て、欲情したような顔をしてる自分にぎゅっと肩を抱きしめた。
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