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そんなの嫌だ。
ペットでいることも許されなくなったら俺は…
「和?考え事?」
「…あ、ううん、なんでもない」
心配そうに覗き込んできた悠太郎に笑ってみせる。
頭がマイナス思考になってる…
悠太郎に心配かけたくないし、一緒にいる時は元気でいないと…
「悠太郎、もう少し前行こ」
「俺はいいけど…あの中入ったらもみくちゃだぞ?」
「せっかくなんだし楽しむんでしょ?」
にひっと笑って悠太郎の腕を引く。
みんなでワイワイする気分じゃないけど、こうしてた方が考えなくて済むだろうし…
なんて考えてたら突然引っ張られて身体が傾いて体制を崩す。
「っわ…とと…!」
「和!」
転ぶ!そう思って反射的に目を瞑ったら柔らかい物に当たってふわっと甘い匂いがした。
…よく知ってる匂い。
ドクンと脈が大きくなって顔を上げた。
「見つけた」
「…く、おん…」
中途半端に屈んでる俺を支えながら見つめる目に身体が竦む。
いつもの意地悪な顔でも、笑顔でもなくて、怒ってる顔でもない…
焦ってるみたいな…そんな顔。
「ぁ…」
さっきのさっきで、いきなり顔を合わせることになるなんて思ってなくて、まさか声かけてくるなんて思ってなくて上手く声が出ない。
…なんで、
何を言えばいい?
「あ、の…っ」
言葉に詰まってたら強引に腕を引かれて体育館の出入口に向かっていく玖音。
悠太郎の手を離してしまって、不安で、思わず悠太郎の方を振り返る。
「ゆうたろ…っ!」
正直今は玖音のそばに居たくない。
全部全部言ってしまいそう…
助けを求めて声を上げたけど悠太郎はにいっと口角をあげてVサインをしてきた。
口パクで「がーんーばーれ!」って言われてる気がした。
(は、はぁ…?)
な、何を頑張ればいいんだよ…!
俺の助けも虚しくそのままずるずると引きずられていく。
「玖音…っ、やだ、今は…」
「逃げないで」
「っ…」
ぎゅうっと手を握る力が強くなってそのまま連れていかれる。
こんな状況でも触れられたところが熱くなって、嬉しいなんて…
でもいつものからかってる雰囲気じゃないのはわかるから、俺もそれ以上は強く言えなくてただ黙ってるしかなかった。
「…モテる男は大変だねえ」
体育館を出ていく後ろ姿を見てヒラヒラと手を振る。
俺バカだからよく分かんないけど、
きっと真白くん、和のことどうでもいいなんて思ってないと思う。
だからきっと大丈夫。
「がんばれー和」
俺は後夜祭楽しむとするかあ!
二人の背中にエールを送って、盛り上がりが最高潮の集団の中に入った。
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