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ちりん、とベルがなって店内が静かになる。
「あ〜…流石に飲みすぎた」
「おーお疲れ、稼ぎ柱ありがとう」
「ったく…」
お見送りに行った玖音が頭抱えて戻ってきてため息をつく。
珍しく酔ってるみたいで誰もいないこともあってどかっとカウンターの椅子に座ってうなだれていた。
こんな酔ってるの初めて見たな…
じっと見つめてたらパチッと目が合ってふふっと微笑まれて心臓がぎゅってなる。
「和くんこっち」
お酒のせいなのかいつもより無防備な雰囲気で甘い声で言われて誘われるようにそばに寄った。
「…大丈夫か…?」
「んー、平気。ちょっと休めば落ち着く」
そう言ってるけど眠そう…最近学校も割とちゃんと来てるしこんな感じで毎日働いてるから疲れてるんだろうな…
少しでもと思って頭を撫でてやる。
玖音は何も言わずされるがままにされて、少ししたら寝息が聞こえてきた。
やっぱ疲れてるよな…
無防備な寝顔を見つめながら仕事してる姿を思い出す。
玖音って基本的に適当に生きてるって感じするけど、仕事の「レオンさん」でいるときは一切手を抜いてるところを見たことがない。
いつもお客さんの相手してて、たくさん話して、常連さんは名前とか好きなお酒とか、話した内容も全部覚えてる。
適当にあしらうだけじゃなくてちゃんと聞いてあげてる。
このビジュアルでそんな風に接されたらそりゃまた来たくなるよな…
ここは基本的にそういうリピーターのお客さんが多いけど俺が見た限りは玖音が一番引っ張られてる気がした。
もちろんほかの人たちだっているけど、持ってるものというか…仕事に対する姿勢がすごいなって思った。
「あーもう、こんな所で寝るなよ」
「ま、待ってください」
ライトさんが気づいて起こそうとするのを止める。
「もう少しだけ…こうしてあげてください」
撫でながらそう言えば、ライトさんがふふっと笑ってカウンターに肘を付いて俺を見た。
「もうすっかり恋人だね」
「ぁ?!えっ」
突然のことにしどろもどろになる。
なんて応えようか焦ってるとケタケタ笑って「こいつ見てればわかるよ」って玖音の頭をぐしゃっとした。
少しだけ身を捩ったけど、またすぐ寝息を立てる。
なんだ…バレてたのか
「最近やけに人間味増したし、色気付いたのも和くんのおかげかな」
「え、えと…、人間味?」
「こいつ仕事の時は前からあんな感じだけど普段の時がな。なんにも興味ないです、どーでもいいですみたいな顔してたから。和くんといるようになってからいろんな顔するようになったからよかったなって思うよ」
そう言われてみれば、
出会った時より今の方が笑ったり怒ったり、いろんな顔を見てる気がする。
もし俺がきっかけだとしたら嬉しいな…
「独占欲強いから大変でしょ?俺ですら触らせてくれないもんね」
「えっ、えー…あはは、…でも嫌じゃないので…俺も相当おかしいです」
玖音に独占されるのは嬉しい。
怒らせたら機嫌直すまで大変だけど…でもそんな重い気持ちが嬉しかった。
だって俺も…そんな気持ちを抱えてるから。
あの日好きだと言われてから
そばにいるだけでいいと思ってたのにどんどん欲深くなっていく…
こんな感情初めてだ
思うだけで嬉しくて、苦しくなる恋。
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