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30日…?
12月30日。馴染みのある日付にはっとして玖音を見つめたら自慢げに笑った。
「クリスマスの分と、和くんの誕生日。あと年越しも一緒にいたいから」
そうだ、俺の誕生日…
「な、なんで、知ってるの?」
自分で言った記憶なかったから知ってると思わなくて困惑する。
「悠太郎くんが教えてくれた。もっと主張してきてくれていいのに何も言わないんだもん和くん」
いつの間に仲良くなってたのか。
自分の誕生日ってちょうど年末で忘れられがちな日にちだから忙しい中でわざわざ祝ってもらうのも申し訳ないから普通に年末の料理とかと一緒に誕生日祝われることが実家で当たり前だったから、あんまり人に言うこともなかった。
「そこで全部埋め合わせするから、もう少しだけ。ね?」
「あ、あの…でも…俺そんなにお金…」
「プレゼントだから気にしないで」
でも交通費とかは手伝ってね、と眉を下げて笑った
くしゃりと頭を撫でられて、泣きそうになった。
最近バイトばっかなのはこれのため?
BARだけじゃなくて日中も他のバイトしてたけど、全部…
「でも…」
「代わりに和くんを全部頂戴」
低い声で目を見て誘うように言われたら
断る理由なんてない
「っ〜…」
「うわっ!」
たまらなくてぎゅうっと抱きつく。
びっくりしてよろけてたけどしっかり抱き留めてくれた。
「…ありがとうっ、すげえ嬉しい」
にかっと笑って見せると嬉しそうに笑った玖音がとても愛おしくて帰り道だってことすっぽ抜けて道路で抱きしめてしまった。
ザワザワ…
「あれ、真白くんと黒田くん?」
「可愛い〜仲いいんだね」
そんな声が聞こえてはっとして周りを見たら顔見知りの生徒達がくすくす笑ってて一気に恥ずかしくなる。
(うわ、俺こんな道の真ん中で何してんだ!!)
自分からしたのに急いで身体を離して距離をとった。
周りからはただじゃれてるようにしか見えなかったみたいでよかった…
「あれ、もう終わり?」
「終わり!も、帰るぞ!」
とりあえずその場から離れたくてズカズカと歩く。
…そっか、俺の誕生日知って色々してくれてたのか
その事を思い出すと顔がニヤけそうになる。
「てか、俺がもし30日から用事あるとか言ったらどうするつもりだったの?」
「和くんが僕の誘い断るわけないでしょ」
「…すごい自信」
「ありがと」
褒めてねえよって思ったけど、その通りなのが悔しい。
初めての旅行。
それまでに俺も単発のバイトやってもう少し玖音に色々返せるようにしておこう。
クリスマスを通り越して30日が楽しみで楽しみで仕方なかった。
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