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出発前夜。 玖音side
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「明日から和くんと旅行だっけ?羨ましい〜俺も連れてけよ玖音」
「だから店でその呼び方やめろって言ってるじゃないですか」
「今お客さんいないから大丈夫だって」
危機感のないオーナーにため息をつく。
全くこの人はいつになったら学んでくれるんだ…
まあお客さんいないから早く上がれるし助かったけど。
流石に連日休み無しで朝から夜まで働いてたからちょっと疲れたけど、明日からのことを考えたら頑張れた。
旅行の話した時の和くんの嬉しそうな顔、可愛かったな。
「デレデレじゃん〜ふぅ〜!」
「うるさいしつこい。お土産買ってきませんよ」
「あっ、それは勘弁」
グラスを片付けながらオーナーとぎゃあぎゃあ言い争ってると急にふっと優しい顔になった。
「でもよかった。安らげる場所出来たんだな」
思わず手が止まってしまった。
オーナーは僕が何をしてきたか知ってる。知った上でこうして面倒を見てくれて気にかけてくれている。
兄貴がいたら…もしくはいいお父さんだったらこんな感じだったのだろうか。
「…はい。凄く」
和くんのそばに居ると余計なことを考えないで済む。
愛おしくて甘やかしてずっと腕の中に閉じ込めておきたい、なんてそんな事ばっかり。
人を好きになるってこんな感覚だったっけ。
「…お前は抱え込みすぎなんだよ、ガキのくせに」
「うわ…ちょっと、やめてください」
何かを言いたそうな口を結んで頭をぐしゃぐしゃにされた。
わかってる。
オーナーは口うるさくてうざい時もあるけど、僕の事気にかけてくれてるってずっとわかってた。
だからこの人には弱い所を見せられる。
「もう大丈夫なんだから、目いっぱい大事にしてやれよ」
「…言われなくてもしますよ」
傷つけたくない。大事にしたい。
だから何も知らないでいいから、ずっと笑っててほしい。
脳裏に和くんの笑顔と同時にあの日のあいつの泣き顔がチラついた。
…ごめん…でももう止められない。
恨まれてももうこの気持ちに制限なんてかけれない。
時計を確認したら日付けが変わる数分前だった。
「ちょっと抜けます」
「何だよ、あ…ラブコール?」
「まあそんなとこ」
店を出て電話をかける。
きっと遠足前楽しみで寝れないタイプだと思うから起きてると思う。
何コールかして、『もしもし?』と和くんの声がした。
「あ、まだ起きてた」
『起きてるけど…何?』
「んー和くんの声聞きたいなって」
さらっと言うと息を呑む気配がして顔がにやける。
今ので照れたんだ…可愛い。
けどそれを隠してちょっと強気な口調になってた。
『…楽しみで寝れないとか?』
「和くんだって楽しみなクセに」
『……そりゃ、そうだけど…』
その癖こういうとこで素直になるから
ほんと堪んない。
軽く話してる間に腕時計を見たらもう12時を回ってた。
「あ、日付変わった」
『え?…あ、ホントだもうこんな時間…』
悠太郎くんが言ってたけど、ほんとに自分の誕生日に興味ないんだな…カウントダウンとかしてはしゃぎそうなタイプなのに。
とりあえず誰よりも早く、君に言える。
「誕生日おめでとう和くん」
『…うん、ありがとう』
声だけで照れくさそうに笑ってる顔が想像出来た。
自然と自分も頬が緩む。
「明日沢山してあげるから待っててね」
冗談っぽく(本気だけど)言ったら突然噎せだしてしどろもどろになってた。
『っバカ!そういう事…っ言うなよ』
「あれ、楽しみじゃないの?」
少しだけ話してそのうちに疲れてたのか寝息が聞こえてきてきっと用意しながらそのまま寝てしまったんだろうと思うと面白くて繋げたまま仕事に戻った。
和くんに触れるの自体久しぶりすぎて
何をしようかなって考えるだけで顔がにやける。
浴衣着た和くん絶対エロい。止めれる気がしない。
和くんにとっていい思い出になりますように。
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