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「っ、若菜!!」
「!!」
友達の元に戻ろうと背中を向けてた若菜の腕を思わず掴んでしまった。
ぱっと振り返った顔が驚いたような、泣きそうな、そんな顔をしてた。
ズキンと心が痛くなる。
好きでいてくれた若菜を先に手放したのは俺。傷つけて泣かせた俺が今更って思うかもしれないけど…これきり会えないのは嫌だと思った。
「…嫌なら捨てていい、もし話せるなら…連絡頂戴」
適当なノートを取り出して電話番号を書いて乱雑に破り若菜に押し付ける。
嫌だって捨てられたらそれでよかった。
若菜がそれを望むならその方がいい。ただ…あの時言えなかったことを俺の自己満だけど伝えたかった。
若菜はぎゅっとメモを握りしめて「わかった」と言って小走りで店の中に消えた。
…相変わらず優しくて真面目だな。
後ろ姿を見つめて思い出す
あの日…言えなかったこと。
『…わたし何かしちゃった、?』
泣いてる彼女を抱きしめてやりたかった。
けど何も出来ず何も言わず、ただ拳を握ることしかしないでそのまま別れてしまった。
違う、違うんだ…
好きだよ、すげえ好き。好きだった。
だけど…無理なんだ
お前のそばにいると、どうしてもアイツと顔を合わせなきゃならない。
犯される恐怖というより、アイツとセックスするのにハマりそうな自分が怖かった。
アイツは怖い。逆らえないという恐怖心が植え付けられている。
若菜にとっては仲良い奴だったから尚更言い出せなくて苦しんだ。
…若菜はいい女だから、幸せになって欲しい。
その相手は俺じゃなくなってしまったけど、きっと現れる。
そして…今なら言えそうな気がするんだ。
聞いてくれるかはわからないけど…
「和?どうしたん?」
「知り合い?」
「…うん…前の学校の」
いつまで経っても来ないのを気にしてわざわざ戻ってきてくれた二人に心配かけまいと笑顔を見せる。
話しながら出ると携帯が震えて、もう連絡入れてくれたのかと思って慌てて画面を確認して足を止めてしまった。
《今日夜来れる?》
玖音からそう来て、少しだけ罪悪感に駆られた。
…ちゃんと言え、って前約束したもんな…
玖音にもちゃんと話しておくべきかもしれない。
俺が何で男とするようになったか。ちゃんと話したことなかったし話す必要もないと思ってたけど…
《解散したら行くよ》
それだけ打って携帯をしまう。
…あまり思い出したくない過去だけど…
足取りが少しだけ重くなるのを感じた。
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