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.(若菜side)
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次の日からいつも余裕もって学校に行くのにあえてギリギリに行ったり、移動教室とか授業が終わった瞬間に他の友達と一緒に教室を出たりして極力和と顔を合わせないようにした。
席替えして遠くなってくれたから助かった…
何度も和が話しかけようとしてるのに気づいてたけど、何言われるか想像すると怖くて逃げてしまう。
その状態が二、三日続いて…
「おいこら今日は逃がさねえぞ若菜!」
「ついてこないでよ!!」
ついに和に限界が来たらしく帰りに校舎内追いかけられて捕まって、久しぶりに二人で話す時間が生まれた。
…和怒ってる、よね…
「…なによ」
けどぶっきらぼうにしか返せない自分が子供っぽい…
和がはあ、とため息をついて頭を搔く。
「それはこっちのセリフ、なんで急に避けるかな…」
「…それは…その…ごめん」
だって、あんなのもう好きだってバレちゃうじゃない。
それでどんな顔すればいいの…
目を見れなくて俯いてると影が近づく気配がして後退りしていると、とんと背中が壁についてこれ以上離れようがなくなってしまった。
「ねえ、この間のあれ何?」
「…何が」
往生際の悪い…
知らないふりは許してくれなくて優しくだけど強引に頬を触られて身体がびっくりして跳ね上がる。
「俺のこと好きなのって聞いた時、なんであんな顔したの?顔赤くしてさ…そんなふうに」
そんな風って…わたし今どんな顔してる?
触れられた場所が温かくてじわじわ熱が広がって、高鳴る心臓の音が身体に響く。
「し、てないよ…」
「してる。言ってよ若菜」
じっと見つめてくる和が急に男らしく見えて息が詰まるくらいドキドキした。
こんなに緊張したこと今まででなくて死にそうだった。
(…うう…っ、)
ぎゅっと目を閉じる。
…可愛くアピールとか告白なんてしたことない、こんな風に強引にドキドキさせられるなんて和が初めてだから…
「好き」
色々考えて結局口から出たのはそれだけだった。
それで充分だったらしく「俺も」って耳を疑う言葉を聞いた直後に唇を塞がれた。
ファーストキスはロマンチックに、なんて夢見てたわけじゃないけどまさかこんなタイミングでされると思わなくて身動ぐとぐっと抱きしめられて大きい身体に包まれた。
その瞬間両想いってことが身に染みて泣いてしまった。
付き合うことになってわかったのは根は真面目だってこと。
わたしと付き合うようになってから一切女の子たちと遊ばなくなった。身体だけじゃなくて大事にしてくれてるってわかって
最初はすぐそういうの求められるかと思ってたけど…きっと合わせてくれてると思う。
もしかしたらさせてくれないから嫌になったらどうしようと思って家に誘って初めて抱かれて、終わったあとにそう言ったらめちゃくちゃ笑われて「そんなわけないじゃん」って言ってくれた。
友達の時とは違う優しさがなんだかくすぐったい、
けど和が苦しい時とか大変な時、わたしに心配かけないようにって何も教えてくれないのが凄くもどかしくて。
優しさだってわかってるけど…
わたしも力になりたいのに…なんて思い始めてた。
中学の時の同級生で仲がよかった透に「彼氏出来たのか」ってからかわれて二人で写ってる写真を見せたら「俺も仲良くなりたい」って言われて和に聞いたらいいよって言ってくれたから二人を会わせて、気があったのかすぐ仲良くなってくれたから三人で遊んだりもたまにした。
まさかそんなことがあったなんて知らずに。
そして付き合って半年が近くなった頃。
「俺と別れて」
「…え」
突然そう言われて理解ができなくて頭が真っ白になった。
あまりにも突然で、予兆なんてものも感じてなかったから受け止めきれなくて…
「…ど、して…?」
「ごめん」
「…わたし何かしちゃった、?」
「…ごめんね」
ああ…こんな時も何も話してくれない。
苦しそうにしてわたしには背負わせてくれないんだね…
幸せな思い出が溢れすぎてて…痛い、苦しいよ…
いつかこれが思い出になって、和と普通に友達だった時みたいに話せる日がくるんだろうか。
…そうなれたらいいな…
いつまでも落ち込んでいられない、無理矢理そう思うことにして普通にしようと思ったのに和は学校を休むようになった。
どうしたんだろう、けど連絡する勇気もなくて一週間を過ぎたあたりで突然「黒田くんが転校する」って話がクラスに広まった。
ホームルームで入ってきた先生にみんなで問い詰めたら「本人の意向で誰にも言わないでほしいってことだったから」とあっさり認められて呆然とする。
「ちょっと若菜、そんな話黒田くんから聞いてた?」
「…いや…わたしたち別れたから…知らなかったよ」
「え、なんで?!あんたたち別れたの?!」
クラスメイトにそう言われて、ぶわっと涙が込み上げる。
和の声が聞きたくて電話をかけたら繋がらなくて、それは他の男の子たちも一緒だったみたいで一切の連絡手段を絶たれた。
そこでやっと本当に振られたんだとわかって人生で一番泣いた。
和がその道を選んだ。
もう関わらないという道を選んだのなら…それを受け入れなきゃいけない。
まだ好き、大好き。
でもさようならなんだ…
同じ教室にいることもできなくなってしまった。
忘れられる日がくるのかな…
…ううん、きっと忘れない。
思い出として綺麗に振り替えれる時がくればいいな…
そして高校二年生にあがってクラスメイトも変わって、それなりに楽しい生活を送っていた。
恋愛は出来なかったけど周りの友達も励ましてくれたし気にしてなかった。
…しばらくは誰かと付き合うなんて想像つかない。
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