アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
.
-
「またね」なんて言葉がこんなに重く感じたことはない。
俺にそんなこと言う資格あるのか…なんて思ったけど笑って「また」って返してくれた。
心が広くて芯が強い、そんなお前だからきっと好きになったんだろうな…
「…ってか今何時…」
送って駅までの道を歩いてふっと腕時計をみるといつの間にか20時を回っててびっくりした。
いつの間にこんな経ってた?!
慌てて携帯を開くと何故か充電が残り5%とかしかなくてよくよく見たら若菜と話してる時に見てた動画サイトの自動連続再生が永遠と続いてたらしく電池があっという間になくなってた。
そしてこんな日に限ってモバイルバッテリーもってないし…
「…まじか…」
寒いと電池減り早いってのもあるし帰るまで持たなさそうだな…
「とりあえず連絡入れておくか…ってああ?!」
文字打ってる途中で画面がふっと真っ暗になる。
間に合わなかった…
とりあえず早めに帰ろうと電車に向かって駅について呆然とする。
『えー只今積雪の関係で線路の雪を避けていますので除雪作業で電車が遅れています。大変ご迷惑をお掛けしますが…』
……ついてなさすぎんだろ…
壁に寄りかかって頭を抱える。
滅多にそんなことないのに今日に限って雪…
まあどうしようもないし電車が復帰するのを待つしかないのだけど…何となく胸騒ぎがして落ち着かない。
玖音の昨日の様子が気がかりで、不安にさせてしまった分早くそばにいたい…
ていうか俺が今すぐ玖音に会いたかった。
若菜に今大切にしたい人がいる、って話した時に頭に顔が浮かんで…堪らなくて。
今すぐ会いたい。
(…走るか)
ここでじっとしていられなくて、でも流石に玖音の最寄り駅までは遠いから電車が動き出す時に少しでも電車に乗ってる時間が短くなるように。駅を出て走り出す。
_________
「はあ…っはぁ…っ、…しんど…」
やっと電車に乗り込んで壁に寄りかかって息を整える。
結局電車が動いたのが最寄り駅まであと4駅分くらいの時で一瞬このまま走ろうかまよったけど流石にキツかったから電車に乗って向かった。
そんなこんなで23時近くになってしまった。
(…これ怒られそうだな…)
夜までに帰るって言ったのに、しかも連絡無しはやばいだろ…
マンションの前についてビクビクしながら貰っていた合鍵を使ってオートロックを開けて上まで登って部屋の前で深呼吸をする。
これはその、色々仕方ない。
決して若菜とどうこうあったわけじゃないから説明すれば…
なんて心の中で言い訳を整理してがちゃ…っと静かに鍵を開けた。
「…た、だいまー…?」
けど家の中は真っ暗でしーんとしていた。
…あれ?
「…玖音?いないの?」
声をかけてみるけど反応がなくて、部屋を散策したけどいなくて今日バイトだったっけなって考えてたら後ろで突然ドアが開く音がしてびくっと肩がはねた。
「っひ!」
「…和くん」
振り返ったらどこかに行ってたのか頭や肩に雪を積もらせてる玖音が立っていた。
あ…びっくりした…いきなり開いたから不審者かと思った…
「あ、お…おかえり、遅くなってごめ…」
連絡もなしに遅くなってしまったことに怒られる覚悟をしていたら
「っ…うわ!」
強く引っ張られて前のめりになった身体を
力いっぱい抱きしめられて息が詰まった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
204 / 265