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忍びよる罠。
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一月も後半。
短かった冬休みも終わっていつもの教室の風景が戻ってきた。
もう少しでこのクラスもお別れになるんだなあって考えると今こうしてる時間が大切なんだな…ってぼんやり思った。
「やっぱり俺世界史にしようかな〜、日本史とか何年もやってるはずなのに一向に覚える気配がねえ」
「悠太郎は別にどっちもさほど必要な教科じゃないんじゃない?だったらやりやすい方で点数稼いだ方が効率いいよ」
「和は文系にすんの?」
「あー、そのつもり。数学わざわざ難しいのとかやりたくねえし…」
ホームルームの時間配られたのは三年生の専攻科目を選ぶプリント。それとずっと睨めっこをしてる。
文系と理系で大きく分かれるから今後の進路に割と大事な選択だからみんな頭を悩ましていた。
俺も涼も悠太郎もバラバラだったから離れる可能性が高い。
こうやって同じクラスにいる風景も見れなくのかな。…想像つかない。
なんだか最近こういう進路だ何だっていう話が増えてきてめんどうくさい。
将来のことなんてまだ何も考えてないのに…
涼みたいに医学部に行くなんて目標もなければ、
悠太郎みたいにプロバスになりたいなんて夢もない。
将来か…どうなってるんだろう
今は遠い未来とかどうでも良くて…
「そろそろ集めるぞ〜」
先生の一声でみんなが一層ガヤガヤしだす。
とりあえず頭がいいところ目指してる訳でもないし、行きたい大学なんてのもまだないから一番無難な文系で日本史で…って何となくやりやすそうな授業を専攻した。
悠太郎も結局「和日本史ならそうする!ノート写せる!」とか言って俺とほぼ同じになって、涼だけが理系クラスの選択になった。
つまり涼とはあと一ヶ月と少しくらいしか同じ教室にいることはない。
「涼はきっと離れるな…」
「別にいつだって集まれるだろ?」
「そうだけどさ…」
むうっと机に突っ伏すと笑って髪をぐしゃぐしゃにされた。
いつだって助けてくれてた涼がいないなんて…
「それに多分悠太郎は一緒になるだろうし、遊びに行くよ。面倒みるの頼んだよ和」
「…悠太郎の扱い一人とかキツすぎ」
「ねえ俺の扱い雑になってきてない?!」
「嘘嘘、ごめんって」
悠太郎に軽く身体を預けて窓から見える空を見上げた。
(そう言えば玖音はどうすんだろう…)
あんまり進路とかについて話したことなかったから聞いてなかったけど…もし選択かぶってるの多かったらクラス一緒になったりするのかな。
でもあいつ数学出来るし(全部出来るけど)理系かな。
ていうかそもそも進学出来るんだろうか。
出席日数足りてるから平気って前は言ってたけど…
(もし同じクラスになれたら…いいなあ)
高校最後の一年。
好きな人が教室にいるなんてそんな幸せなことがあればいいなって思った。
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