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「行きたいとこはあるけど迷ってるんだよね。どっちにしろ文系進んだ方がいいから文系にしたよ」
「そ、っか…」
帰り道に専攻の事を聞いたらちゃんと行きたいところがあるって返ってきて少し驚いた。
玖音もちゃんと考えてるのか。
なんか俺だけ取り残されてる気分…
「和くんは?」
「…俺も文系」
「そしたらクラス一緒になる可能性あるね」
ご機嫌な玖音の横で俺は素直にそれを喜ぶことが出来なかった。
確かに嬉しい。けど、ちゃんと目標があって進む人と俺じゃ違いすぎる…
俺もやりたいこと見つけないと行けないのかなあ…
「和くん?」
「…うんん、同じクラスなれたらいいね」
微笑んでみせたら「うん」って笑う顔を見て少しだけ気持ちが楽になった。
…俺は…
「おーい!玖音〜和くん〜」
頭の中に想像した妄想が一気に現実に引き戻される。名前を呼ぶ声がして振り返ると駅のある道から両手に荷物抱えて歩いてる金髪の見慣れたお兄さん。
あれは…ライトさんだ
相変わらず重そうな荷物持ってんな…
「…またいっぱい荷物持ってる」
「…無視していいかな」
「いやダメだろ」
渋々って感じで頭を抱えてライトさんに近づく。
なんだかんだ言って仲良しなんだよな二人とも。
「ほら、片方貸してください」
「頼りになる玖音ちゃん」
「キモいです」
「…ぷふ…っ」
二人のやりとりに吹き出してしまう。
お兄ちゃんと弟みたい。たまにどっちがどっちかわからなくなるなんて言わないけど…
玖音はそのままバイトだったから一緒に店まで行くみたいだ。
「終わったら和くんの家行ってもいい?」
「いいけど…今日長いんだろ?」
「うん、多分遅くなるけど」
「…玖音がいいなら」
「先寝ててもいいからね」
絶対自分家帰った方が近いから楽なのに…
来たいって言ってくれるなら断る理由もないから頷いたらふわっと優しく笑って頭を撫でられた。
「アラサー独身男子の前でリア充やめてくれる?」
「…えっ、あっ、すみませ…」
いちゃついてたら前から冷ややかな目で見てるライトさんがいて二人きりじゃなかったのを思い出して慌てて離れる。
「ウソウソ、素直だなあ和くんは」
存分にいちゃついていいよ〜なんて言われて恥ずかしくて顔が熱くなる。
…周りからそんな言われるくらいイチャついてるように見えるのだろうか…
ちらりと横目で見つめたら目が合ってお互いくすっと笑った。相当バカップルだ…
「じゃあまた夜ね」
「ん、待ってる」
「またね和くん〜たまには飲みにおいで〜」
「…はは、考えておきます」
相変わらず飲みに誘ってくるライトさんを受け流すのも慣れてしまった。
二人の背中を見送って、家までの帰路に戻る。
夜来るのか…部屋掃除しておこう…
…あ、ご飯作っておいたら玖音喜ぶかな。
そう思い立ったら行動せずにいられなくて電車に乗って家から最寄りのスーパーによって適当に買い物を済ませて家に戻った。
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