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…どうしよう、どうしよう。
22時…ここからあの辺りまでは一時間くらいかかるから今すぐ飛び出せば間に合う。
けど…けど!
「…くそ…ッ」
あんな奴もう二度と会いたくない。
卑怯な手に屈したくない。
けど…行かなかったら?
若菜のこと好きでもないのに玩具みたいに扱って傷つけて、何事も無かったかのようにケロッとして、若菜だけに深い傷を残して…
ぎゅっと震える身体を抱きしめた。
…さっきまでハンバーグ作って玖音まだかななんて待ってたのに…急な選択に頭が混乱する。
…そうだよ、今日はもう玖音が来るの待って二人で俺の不格好なご飯食べてゆっくりするつもりだったのに。
なんでこんな…
無視して行かないって選択肢もあったけど
…若菜を見捨てるのは出来なかった。
「…〜っ」
ごめん、玖音。
これで最後にするから。
だから……
急いでメッセージを打ってコートを羽織って家を飛び出した。
俺は男だから多少乱暴されたってなんてことない
けど若菜は…
もしかしたら今この瞬間にすら何かされてるかもしれないと思うと怖くて仕方なかった。
電車に揺られて最寄り駅で降りて駅前の通りを走る。
上がる息が白く変わって視界を曇らせる。
…くそ…っ何処だ、
あのカラオケ…初めて桃瀬に抱かれたカラオケのことだと思った。
元々人通りが少ないところのカラオケだから前についても誰も居なくてキョロキョロ辺りを見回す。
腕時計を確認したら22時前で力が抜ける。
…よかった…まだ大丈夫…
「おー、ちゃんと来たんだ」
「___っ」
安心したのも束の間。
背後で声がして振り返ったらあの頃と変わらずいかにもチャラそうな桃瀬が嫌な笑顔で笑ってた。
もう俺の中で解決して忘れかけてた事なのに…またコイツに会うなんて。
「…若菜は」
「家で寝てるよ、もちろん何もしてない」
その言葉に少しだけほっとして胸を撫で下ろす。
若菜が無事だってわかったなら俺もうここにいる理由がない。
絶対ろくな事ないってわかってるからなるべく距離をとって睨みつける。
「…で、何だよ。俺にまだ何かあるの」
「うん、だって若菜は黒田くんを呼び出すためのエサなだけだし」
「…何…」
後ろがうるさくて言葉が聞き取りにくくて聞き返そうとしたらバタバタ近づいてきていきなり羽交い締めにされて突然の事に身体が固まる。
「な…っ!やめ、離…ッ」
何人いるんだろう。
あっという間に目と口をタオルみたいなもので塞がれて真っ暗な世界に落とされて何処かに押し込まれた。
「んん…!んー!」
「くそ…暴れんな!」
「っ、んん゛…ぇっ」
逃げようと足をばたつかせたら多分二人がかりで抑えられて腹を殴られて息が苦しくなる。
バタン、とドアが閉まる音とエンジンの音で車の中に押し込まれたってわかった。
「透〜これでいいの?」
「うん、ありがとう」
「…殺したりするわけじゃない、よな?」
「何言ってんの。そんな野蛮な事するわけないでしょ。イイコトしかしないよ」
「うわーえげつな…まじ敵に回したくねえ」
「どーも。あとあの場所に送ってくれるだけでいいよ先輩。ついてからお金渡すね」
俺を囲んで下品な声が飛び交う。
…まさか桃瀬だけじゃなかったなんて…甘くみてた。
桃瀬だけなら何かされても逃げれるって思ってたのに明らかに俺らより年上でやばそうなヤツらを金で釣ってた。
…怖い…
突然頬に触れられて身体が大袈裟に跳ねる。
誰に触られてるかもわからない。
嫌だ…怖い、気持ち悪い…
「震えてる、怖い?」
「…ぅ…」
「大丈夫だよ、すぐ良くなるから」
鼻元に息が苦しくならない程度に布を当てられてツンとした匂いに頭が痛くなる。
車が動き出してしばらくして、急激に眠気に襲われて…
眠っちゃダメだって思っても抗えなくて気を失うみたいに眠ってしまった。
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