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頭痛い…身体が重くて、手を動かすのも怠い。
あれ、いつの間に寝てたっけ…
「……ぅ…う、ん…?」
重い瞼をゆっくり開けたら見慣れない天井。
意識がまだはっきりしない。
どこだっけここ。
…俺何してた?
確か…そうだ、玖音にハンバーグ作って…待ってようって思って…そしたら電話来てて…
桃瀬の声がして…カラオケ向かって…
それで…
「……!!」
記憶を辿って全部一気に思い出して意識が覚醒する。
そうだ、車でどこかに拉致られて何かを嗅いだら急に眠くなって寝ちゃったんだ。
あの危機的状況で寝るとか何してんだよ俺!
起き上がろうとして手首が手錠で繋がれてるのに気づいてさあっと血の気が引いていく。
…まさか…
「頭痛い?」
「っ!」
突然声が響いて顔を上げて部屋を見回したら桃瀬が高そうなソファーにもたれかかって俺を見てた。
嫌な予感しかしない。
「寝てる時気持ち悪そうに顔歪めてたからさー、乱暴してごめんね?」
きっと少しも悪い気なんてないその態度に呆れる。
本当に何も変わってない…
自分の快楽のためには一切の手段を選ばない。そういう奴。
「あと聞きたいんだけどさ」
「っ、や…っ」
ベッドのスプリングが軋んで近づいてくる桃瀬から逃げたいのに寝かされた体制で繋がれてたんじゃ何も出来ない。
シャツのボタンを外されて首元を指で押された。
「黒田くんって『彼氏』いるの?」
「…は…」
「コレ」
そういって指先にぐっと力が篭った。
…そうだ、痕まだ残ってる…
玖音に抱かれた痕が強く残ってる身体を他の男に、しかも桃瀬に見られた。
ドクン、と心臓が嫌な音を立てる。
…嫌だ、嫌だ嫌だ、触んな…!
「っ嫌…!離せ!!」
「…へえ、否定しないってことはほんとに男なんだ」
カマかけられた事に気づいて嫌な汗が吹き出る。
よりによってこいつにバレるなんて。
「やっぱり黒田くん抱かれる方がよかったんだね」
実際事実だから何も言えない。
好き…だった。
今は少し違う。誰でもいいわけじゃない。
玖音に抱かれるのが好き。
溶けるくらい甘やかされて大事にされて激しくって、好きって溢れて頭がついていかなくなる甘いセックス。
…いつの間にか玖音以外を受け付けない身体になってたってことをこんな状況になってちゃんと自覚した。
「黒田くん開発したの俺だけどさー…まさか若菜捨てて俺からも逃げて他の男に走るなんてね」
その言い方にカチンとくる。
元はと言えばお前が…!
「…ふざけんなよ、お前があんなことしなきゃ…」
「ほんとに俺のせい?俺だけ?」
「……」
けどその言葉にすぐに答えられないのは、それだけじゃないってわかってしまってるから。
ぺろり、と唇を舐めて俺を見下ろす桃瀬が俺の顎を掴んで目で捉える。
何故か逸らせなくて息を飲んだ。
「俺とするの気持ちよくて怖くなったんでしょ?女の若菜としても気持ちよくなれないかもって。心より身体の快楽のが欲しかった」
「違う…っ」
…やだ。聞きたくない。
首を振って否定した。けど桃瀬はそのまま続けた。
「じゃあ何で彼氏作ってんの?結局若菜が好きなんて気持ちは抱かれる快楽に負けちゃったってこと」
「ち、が…」
「黒田くん自身が一番わかってるから図星つかれて俺のせいにして逃げようとしてる。自分の弱いところ隠すためにね?」
「…っ…やめ…て」
声が震えて涙が滲んで視界がぼやける。
泣きたくなんてないのに。泣いたら肯定してるみたいになるじゃんか…っ
桃瀬がこういう手段で心を弱らせるって知っていたし、負けるつもりなんてなかったのにボロボロにされていく。
もうこの時点で俺は桃瀬に勝てるわけなかったんだ…
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