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.(玖音side)
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和くんが寝てる間に携帯に知らない番号からメールが来てて内容ですぐ桃瀬ってやつだと分かった。
眠ってる手を取って指紋認証を解除して勝手に返してほしいって返信をしたら向こうから待ち合わせを指定された。
眠ってるうちに済ませてしまおうと思ったけど起きてしまったから行こうとしてるのがバレて目に涙を浮かべながら不安そうに行かないでと言われた。
悪い気はしないけど自分のモノに手出されてこのまま黙っていられるほど穏やかな人間じゃないんだよね…
何とか宥めて早く帰ると約束してきたから早く済ませようと待ち合わせした場所に向かった。
待ち合わせ場所に近くなるにつれて段々と人気がなくなってきて魂胆がわかりやすすぎて呆れた。
きっとまた和くんをいい様にしようとしてるんだろう。
そんな事させない。
曲がり角から少し顔をのぞかせたら…気だるげにスマホをいじってる男がいた。
いかにもチャラそうな男。
アイツが和くんの初めてを奪った相手。
…腹立つ…
殴りかかってしまいそうな衝動を抑えて一歩踏み出した。
「和くんなら来ないよ」
突然響いた声に顔を上げて目を細めて俺を見た。
「あんた誰?」
てっきり和くんが来ると思ってたから他の奴がこんな廃工場みたいなところにくるなんて思ってなかったんだろう。
無駄に会話を交わすつもりもないから本題に入った。
「ネックレス返してくれる?」
それで理解したみたいで「ああ」と手を叩いた。
「もしかして黒田くんの彼氏?うわー黒田くん面食いなんだなあ、若菜も顔いいし」
うるさ…聞いてもないことをよくまあベラベラと喋る。
面倒くさいのとこのままいると何するかわからないから早く切り上げたくて口を開いた。
「君のご両親ってお医者さんなんだね」
「…あ?」
「長男である君はさぞかし期待されてるんだろうね。高校生にして院内に関係者としてで入り出来るんだから」
「…いきなり何」
頭いいはずなのに鈍いのかな。
よくわかってない顔をしてたから確信に触れる。
「ご両親だからこそ…なのかな、君が出入りするところから薬品が少なくなっていても特に問題視してないのは」
「…!」
そこまで言ってやっと表情が変わった。
なんで知ってるんだ、って焦る顔。
一晩で調べるのは大変だったけれど時間も労力も何も惜しくない。
邪魔なものは徹底的に潰す。
あの人が僕に教えてきた事だった。
「詳しくないけど勝手に持ち出すなんてことが本当に起きてたら問題になるよねきっと」
「…脅してんのかよ」
強気に睨みつける彼を見る。
脅し?そんな優しいものじゃない。
「別に責めたり疑ったりしてるわけじゃないよ。僕にはどーでもいい話だから。不正とか悪い事を摘発するなんて正義感も持ってない」
本心だった。
この人がどうなろうが何をしてようが関係の無いこと。
僕に関係することだとしたら根絶やしにするだけ。
少し近づいて距離を詰める。
「……ただもしまた彼に手を出そうとするなら」
歩きながら自分のポケットの中にあるものに手を伸ばした。
「…なに、持って…」
そいつが後退りして躓いて体制を崩した瞬間それを思い切り振りかざす____
「っ、ひっ…!」
ガンッ!!
…と鈍い音が響いて突き立てられたコンクリートの壁の破片が顔の横に飛び散った。
「その時は殺す」
自分でも出したことのないような冷たい声。
もしまた和くんに触れるなら容赦なく殺す…
それくらい内心ブチ切れてた。
手を離すとバキバキに砕けたボールペンの破片が手から落ちていく。
そのまま放心して座り込んでる彼の手からネックレスを抜き取って背を向ける。
「じゃあね」
一言そう吐き捨てて笑顔を向ける。
きっともう会うこともないから…最後くらいは笑顔でいないとね?
「…な、なんだ…あれ…」
過ぎ去った嵐にただ呆然と座り込むことしか出来なかった。
いきなり現れて黒田くんの彼氏かと思ったら何故か内部事情も知られてて…
本気で人を怖いと思った。
…多分俺が少し顔を避け無かったら当たってた。
それも想定してギリギリを狙ったのかもしれないけど…
…あの目はやばい
思い出しただけで身震いした。
本当に殺す、そんな目だった…
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