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「…ぃって…ぇ」
「お前それで体育よく出たな」
「痛いなら無理しないで見学してればよかったのに」
「バスケだと身体が疼くっつーか…」
下校時間、痛む腰を抑えながら玄関で靴を履き替える。
悠太郎があの時のがまだ痛むのかと心配してくれたけどこの痛みの大半は絶倫飼い主のせいだから下手に言えないし…純粋に心配してくれてるのが心が痛い…
あれから、玖音が桃瀬のとこに行ってから本当に何も起きてなかったしもう関わりたくないからあんまり気にしてなかった。
ボールペン壊れたって何したのか知らないけど詳しく聞くのはやめた。
…その、いっぱいしてくれたし…許してくれたし、好きって言ってくれたし…それだけで充分。
赤くなる顔を抑えて涼と悠太郎と三人で帰ろうと歩き出して校門を出た瞬間
「和…っ!」
聞き覚えのある声に反射的に振り返れば他校生の制服がぽつんと一人佇んでいた。
見間違えるはずもない顔。
「…若菜…」
びっくりした。
何でこんなところに…なんて考えなくてもわかる。
自分が気を失ったあとに俺が、俺と桃瀬がどうなったか気にしてるんだろう。
けどあの後一度も連絡は来なかったし俺からもしようとしなかった。
無事なのを確認したかったけど
…したらまた桃瀬が現れそうで怖かったから。
この様子からして…桃瀬から聞いたんだろう、あの夜のこと。
「あの…っ私…」
「……」
今にも泣き出しそうな彼女にすぐに声をかけれない自分が嫌な奴だなって思った。
どうしよう…
涼と悠太郎は何のことだかわからないって感じで顔を見合わせていた。
…とりあえず二人の前で話せることじゃないし場所変えるか…
「ごめん二人とも、先帰ってて」
「…ああ…」
「わかった…また明日…」
気を利かせて立ち去ろうと背を向けた二人。
けどすぐに足が止まって振り返った大きな影。
「…もしかしてこの間のと関係してんの?」
「っ、」
何故かこんな時だけ鋭い悠太郎に言葉が詰まる。
それに気づいて身体を向き直して近づいてきた。
涼は何が何だかわからないって首を傾げてただ見つめてた。
…空気が重い…
「和」
悠太郎の声が俺の答えを促す。
「……うん」
なんて言っていいかわからなくて一言だけそう返した。
するとぐっと腕を引かれて悠太郎の背中に隠される。
「じゃあもう関わんな」
「…え…」
驚いて顔を上げたらその視線は俺じゃなくて若菜を捉えてた。
若菜もきょとんとして悠太郎を見つめる。
「思い出して辛い思いする必要もないし関わる必要もない。帰ってください」
びっくりした。
優しくて朗らかな悠太郎がこんな冷たく強くいう姿なんて見たことなかったから一瞬戸惑った。
けどすぐ我に返って腕を引く。
別に若菜を責めてほしいわけじゃない。
「…あの…っ私は…」
「いいから帰れよ」
「ちょっとゆうたろ…!」
あまりにキツい言い方に声が大きくなって呼んだら振り返って怒ったような顔で見つめられた。
強い目に怯む。
「またあんな目に合うかもしれないだろ?!せっかく元気になってきたのに…俺はやだよあんな和見るの…」
悔しそうに顔を歪める悠太郎を見て心が痛くなる。
心配してくれてるからこそこんなこと言わせちゃった自分が不甲斐なくて悔しくなった。
ザワザワ…
「何ケンカ?」
「他校生の女の子いるけど…」
校門を出てすぐの場所で下校時間だから生徒多くて周りが少しずつ騒ぎ始めてるのに気づいてとりあえず目立たないところに連れていこうと口を開きかけた瞬間に後ろから腕が回ってきて引き寄せられた。
「大丈夫だよ」
すぐ後ろから聞こえる声に心臓が跳ねる。
「…くお…」
「真白くん…」
悠太郎に向かってくすっと微笑む。
「心配しなくてももう来ないよ。それに」
周りに見えないように隠した後ろ手の指が絡み合って強く握られる。
「ちゃんと守るから」
「…っ」
そんなキザな言葉すら様になる。
…どうしよう、かっこいい。
恥ずかしいけど嬉しくて軽く握り返したら大きく包んでくれた。
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