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甘い毒。
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二月のイベントといえばバレンタイン。
街中がチョコレートの甘ったるい匂いに包まれる。
なんでこんなイベントが生まれたのか知らないけど、女の子が好きな男に想いを伝えるためにチョコレートを渡す日。
最近は友チョコ?とかそういうのがメインになってるってクラスの女子が話してたけど…
日本以外では男から女に、なんて国もあるらしいけど好きな人にあげたいっていう気持ちは世界共通。
好きな人に送るチョコレート。
喜んでくれるかな、なんて思って14日の朝見つからないようにカバンに詰めて学校に行って驚かせたかったのに…
「はいチョコレート」
「…え…」
放課後家に呼ばれて誰の目も気にせずに渡せるって喜んで行ったら俺が出すより先に玖音から高級そうなチョコレートの箱を渡された。
また先越された…
ちょっと悔しい思いもしたけど純粋に玖音がそういうイベントを気にしてくれてたことが嬉しくてそれを受け取った。
…手作りとか出来ないし高級とかブランドとかわからないから市販のチョコレートだけど…気持ちはちゃんと入れたつもり。
やっぱりやめとけば良かったかなって少しだけ後悔したけど今更どうしようもないからカバンから取り出して目の前に差し出した。
「…俺も、これ」
「用意してくれたの?嬉しい、食べていい?」
「あ、ダメ!!待って!!」
小さな紙袋を渡すと嬉しそうに微笑んでくれたのに安心したけど開ける手を押し倒すみたいに押さえつけてしまった。
アレを面と向かって見られるのは恥ずかしい…!
「…その、俺帰ったあとに見てほしい」
「?…うん、わかった」
不思議そうにしてたけど素直に聞いてくれたからほっと胸を撫で下ろす。
恥ずかしくて死にそう…
「僕のは今食べて欲しいから開けてみて」
「あ…うん」
俺とは逆に早く食べるように促されたそのチョコの包装紙をなるべく丁寧に剥がして箱を開ける。
(うわあ…また高そうなのを…)
中はビンの形を型どったチョコレートが五つ綺麗に並べられていて金色の高級そうな包み紙で包まれて読めない筆記体の英語が羅列してあるいかにも海外です!なチョコレートだった。
「感想聞かせて欲しい」
「…うん…ありがと」
俺はこいつに貰ったものを返すのにどれだけの時間が必要なんだろう…なんて思いながらも気にしないで受け取ってほしいって前の旅行の時も言ってたからありがたく頂戴する。
まあ、こんなの食べる機会なかなかないだろうし…と一粒取り出して一口サイズのチョコレートを口に入れた。
「うまぁ?!」
熱で柔らかくなったチョコを噛むとお酒?みたいなのが広がる。
程よい甘さのチョコとほろ苦いお酒が程よく合ってそんなに酒好きじゃない俺でも美味しかった。
「気に入ってくれた?」
「うん、めちゃくちゃ美味しい、これ中お酒?」
初めて食べる大人なチョコレートに感動して次々口の中に頬張る。
これくらいのお酒なら美味しく頂けるし、チョコレートだけでも美味しくてそれだけで売ってないのかななんて思って箱の裏とかを見ていたら頬杖をついてにやにや見つめてる視線に気づいた。
「…玖音?」
「そそ、お酒。苦手じゃない?」
「大丈夫…美味しいよ?」
「そっかそっか」
首を傾げて応えてまた一粒手に取って口に入れる。
甘くてほろ苦いチョコレートが溶けていく。
…あれ、なんで嫌な予感するんだろ…
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