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玖音の部屋に戻るとさっきの女の子が仁王立ちして俺らを待ち構えていてびっくりした。
同じ高校の人だと伝えるとその子は少しだけ安心したように表情を緩める。
「なんだ、おにいの知り合いだったんだ。不審者かと思った」
「えっ?!あ、はは…」
苦笑いしつつそんな目で見られてたのか…なんて若干ショックを受けて促されるまま真白兄妹の空間にお邪魔した。
真白時音ちゃん、この春から高校1年生になるらしい。
俺の二つ下で玖音とは三つ離れてることになるのかな?
クールビューティーな女の子だと思った。
「これお母さんから」
「ん、ありがとう」
「たまには帰ってこいってさ」
「うん」
玖音の後ろで大人しく話を聞いていてふと思った。
玖音が実家帰るとか見たことないし、久しぶりの対面だったら俺いない方が話しやすいんじゃないかな…
何となくそわそわしてると玖音がくすくす笑って見えないように手を引かれて耳元に口を寄せられた。
「遠慮しなくていいよ、ね」
「ん…」
「…ふぅ」
「ひゃあ?!」
いきなり耳に息吹きかけられて、挙句舐められて構えてなかったからびっくりして声が出た。
慌てて口を抑えて振り返った時音ちゃんに「何でもない!」って必死に訴えて不思議そうにしながら俺らに背を向けた瞬間に玖音の足を蹴ってやった。
全然効いてなさそうだけど。
(絶対面白がってる…)
睨みつけても効かなくて見てないところでちょこちょこ俺にちょっかい出してくるから俺は気が気じゃ無かった。
「んで時音、悪いけどもう出るから帰ってくれる?」
「は?なんで、来たばっかじゃん」
「来るの遅いからだろ…仕事なの」
「いーじゃん別に泊まらせてよ」
「今日はダメ」
頑なに拒否をする玖音。
きっと、俺をこのまま残すため。
…いいのかな…
「…くお…」
「いいから」
何も言ってないのにそう言われたら黙ってるしかなくて。
時音ちゃんも不服そうにしながらも折れないとわかったのか諦めたようで本当に荷物だけ渡して帰る支度を始めてしまった。
「何よ、可愛い妹が遊びに来たってのに」
「お願い時音」
「………ほんと人たらしだよね、おにいって」
妹にまで甘えた雰囲気使ってるからほんとその通りだと思った…
大きなため息をついて「じゃーね」とひらひら手を振って去っていく時音ちゃん。
しん…と部屋に静寂が生まれる。
耐えられなくて服の裾を軽く引いて視線を合わせた。
「…いいのか?俺より妹ちゃんのほうが中々会う機会ないだろ、俺は別に明日でも…」
よかったのに、そう続こうとした言葉は優しく指で塞がれた。
じっと見つめてくる目が真剣で逸らせない。
「和くんが最優先」
ふっと目を細めて微笑みかけてくるその仕草が格好良くて胸がきゅんってなった。
こんなこと思っていいのかわからないけど、誰よりも何よりも俺を優先してくれることが凄く嬉しくて…
…嬉しすぎて泣きそうになった
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