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頭を殴られたみたいな衝撃が走る。
『別れてください』
玖音の妹、家族にそう言われてしまった。
…認めてもらえなかった。
けど…
「……ごめん…それは聞けない」
別れるなんて、離れるなんて嫌だ。
誰に何を言われようが思われようが今更そんなの出来るわけない。
時音ちゃんの眉間にシワが寄って俺を強い目で見た。
「ただお互い都合がよくて遊びなら構いませんけど」
「な…ちゃんと好きだよ…!…そりゃ、知らないこともたくさんあるかもしれないけど、過去が何だって変わらな…」
「何も知らないくせに偉そうな事言わないで!」
「っ、」
なんだ。
恋人はだめで、遊びならいい?
どういうこと。
突然声を上げたのに戸惑いながら時音ちゃんの言葉を頭の中で整理しようとする。
けど冷静になれなくて…玖音を好きな気持ちを疑われるのは嫌だと思ったら俺もムキになってしまった。
「お、れだって、話したくない過去とかあったけど…玖音は受け止めてくれた。…玖音が何か隠してるのはずっと前から知ってる、けど無理に聞こうと思わないしいつか玖音が話してくれるまで待つって決めてるから…真剣に好きだから、
この気持ちは遊びなんかじゃない、
ずっとそばに居たいって…」
思ってる。
そう続こうとしたら突然ドン!と肩を押されて身体がよろめいた。
「うわ…っ」
「全部知ったら受け止めきれなくて離れるに決まってるんだから!!簡単にそんな事言わないで!!おにいのこと傷付けないでよ!!」
俺の言葉を遮って悲痛な叫び声が響く。
お互いムキになって初対面なのにケンカみたいになっちゃって…
時音ちゃんはそれだけ吐き捨てるとドアを開けて帰ってしまった。
しばらくそこに立ち尽くしてやっと冷静になる。
…俺年上なのに、男なのに、何こんな子供っぽいことしてるんだろう。
だって…この気持ちは否定されたくなかった。本当に大切なものだから。
全部知ったら、って?
受け止めきれない?
…傷付けないで、なんて。
「……わかんねえよ…」
髪をぐしゃぐしゃに掻き乱してその場に蹲った。
俺はエスパーじゃない。
玖音が何に苦しんでいて時音ちゃんがなんであんなこと言うのかも全然わからない。
頭が混乱してる。
けど…
(やっぱり…あいつの口からちゃんと聞きたい)
たとえ何があっても、
今更何を聞いたって玖音に対する気持ちは揺らぐことなんてない。
…そう思ってたのに。
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