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これで最後。
もうこれが終わったら、こんなホテル街に出歩くのも辞めよう。
そう思っていつもの待ち合わせ場所に行った。
「カズくん」
「…ユウトさん、お疲れ様です」
優しく名前を呼ばれて顔をあげれば微笑んでくれる男。
きっとサラリーマンで年上のユウトさん。
俺が初めてホテル街に行った時に声をかけてきた人だ。
本名なのか偽名なのか。どこで働いてるのか。そんな素性もわからない相手とセックスしてるなんてよくよく考えればとんでもない淫乱だよな…
ちなみに俺は二十歳ということにしている。
「お酒美味しい所見つけたんだ、先にそこに行こ」
「はい、いいっすよ」
ユウトさんに連れられて建物の中にある隠れ家的なBARに入る。
お酒を飲むのは初めてじゃないし、大体いつも飲まされてからホテルに連れていかれるので慣れてしまった。
ただ強い訳ではなかったから、強いのを勧められた時が少しキツかった。
ユウトさんはそんな俺を理解して無理矢理飲ませたりとかはしなかったから、少し心を許してた部分もあった。
だから、俺は油断して正直に言ってしまった。
「ユウトさん、話があります」
「何?改まって」
「…俺、今日で最後にします。ユウトさんだけじゃなくて、全部」
そう告げると少し驚いたように俺を見つめた。
拙い言葉だったけど、それで理解したみたいだった。
けど、すぐにふっと笑ってくれた。
「そっか、わかったよ。…じゃあ今日は俺に全部任せてもらっていい?」
「はい。お願いします」
「じゃあ…、スクリュードライバーをこの子に」
「…かしこまりました」
「オレンジジュースみたいなお酒なんだけど大丈夫?」
「大丈夫です」
ああ、よかった。
機嫌を損ねてしまうかもしれないとビクビクしてた部分もあって案外すんなり受け入れてくれたことに安心してしまった俺はなんの警戒心もなく、最後であろうユウトさんとの時間を過ごした。
何も言わず去ればよかったと後悔することになるなんて知らずに。
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