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レオンさんは奥にあるお酒を取り出して少しだけ注いで俺の前に出した。
レオンさんの…本名ってことか?
「あの…これは」
「アルコールめちゃくちゃ高いから和くんは飲んじゃダメだよ」
口の前に指を当てて小さく笑う仕草がまたかっこよくて。
その横に静かに置かれたお酒の瓶。
「麦焼酎なんだけど、僕の名前と同じだから何となく好きなんだよね」
瓶のラベルには『久遠のしずく』と書かれていた。
「…くおん?」
「漢字はこう。君にはこっちの名前の僕でいた方がいいだろうし、特別ね」
コースターに「玖音」と書いて渡された。
名前まで格好良い。
こっちの名前の僕。その意味はわからなかったけれど、きっとここにいる人たちの中でレオンさんの本当の名前を知れたのは俺だけだ、と思うと嬉しくて、あまり深くは考えなかった。
やばい、なんだろうこれ、嬉しい。
にやにやして緩みきった頬を抑えているとまた別のお酒が目の前に出された。
それは少し前に見たお酒で…スクリュードライバーだった。
『男が女を酔い潰す時によく使う酒』
そう、教えてもらったお酒…
「『カズ』さん」
「へ、はい」
不意にそう呼ばれて玖音さんを見た。
お客さんと接してる時の優しい王子様みたいな声。
けれど玖音さんの顔が今までで見たどの表情でもなくて、誘うよな色っぽい表情に心臓がドキンと大きく脈を打った。
「僕のアフターに付き合ってくれますか?」
妖艶に笑うその誘いに、俺は為す術もなく飲まれた。
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