アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
.
-
「もう吐き気は?ない?」
「…ん、大丈夫。落ち着いてきた」
首裏にひんやりした冷たいタオルと枕元にスポーツドリンク。
さわさわと団扇からくる風が心地よくて目を細める。
あのあと逆上せて倒れた俺は玖音に身体拭いてもらって浴衣着せられて布団の上まで運ばれて看病されて、めちゃくちゃ至れり尽くせりの時間を過ごしてた。
…かっこわるい…
「…あの、ごめん」
「気にしなくていいよ、お世話するの楽しいし」
「違、そうじゃなくて。それもそうだけど…その、…中途半端で終わっちゃって…」
もごもご布団で口を抑えて言うと察してくれて、優しく微笑んで頭を撫でられた。
「時間沢山あるんだしいいよ。だから体調治してね」
「…うん」
優しすぎて申し訳なくなる。
冬だから寒いのに窓も少し開けてくれて冷たい空気が心地いいけど、玖音寒くないかな。湯冷めしちゃう…
そう思って布団をめくってぽんぽんと隣を叩いた。
「ん?」
「となり」
「…暑くない?」
「平気」
そう確認したらふっと笑って隣に来てくれた。
ぎゅっと抱きしめる。お風呂の匂いなのか、ほんのりいつもと違う香りがして目を瞑った。
「時間までこうしてよっか」
「…ん」
ひと組の布団の上で狭いのに時間になるまで二人でずっと話してて、時間がゆっくり流れてる気がしてたけど
気づいたらもう18時を回ってて夕食バイキングに行ける時間だったから行ったらめちゃくちゃ広いとこでステーキだカニだラーメンだって色々ありすぎるメニューにまたテンション上がって無駄に食べて腹いっぱいになって幸せだった。
贅沢な夕食だった…
「は〜美味しかった!」
「和くん何でも美味しいって食べるよ」
「だってほんとの事だし」
喋りながら部屋に戻ってドアを開けて布団の上にダイブする。
ふかふかしてて心地良い。
「和くん」
「んー?」
名前を呼ばれて振り返ったら
電気もついてなくて、窓からの月明かりがぼんやりと広がってる部屋の中に小さい炎が浮かんでた。
「まだ食べれる余裕ある?」
その明かりの向こうで微笑んでる玖音がそう言って顔を覗かせた。
コンビニで売ってるような小さいケーキだったけど、誕生日ケーキ。
「え、何で…」
「ほんとはちゃんとしたかったけど長く持って歩けないし気づかれちゃうから」
玖音が用意してくれたケーキ。
それだけでどんな立派なケーキよりも嬉しくて、
「ほら」って催促されて近づいてロウソクの火を消した。
ふっと辺りがまた暗くなって静けさに包まれて視線が絡む。
「誕生日おめでと」
「…ありがと」
世界がひっそりしてるみたいで何故かお互い小さな声で二人して笑って
そのままこつん、と額が当たって軽く唇が重なった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
167 / 265