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_______一年前。
「いた!和!!」
「ん、何?」
「ちょっとこっち来なさい!」
「はぁ…?ちょ、引っ張んな!」
放課後歩いてたらいきなり襟元引っ張られてずるずる教室に引き戻された。
「何だよいきなり…」
「何じゃないでしょ!人の彼女に手出したりして!」
「…あー…由美の事?彼氏いたんだ?」
「知らんかったんかい!」
濱塚若菜。
一年生の時同じクラスで入学当初から話すようになった奴だった。
第一位印象は純粋に綺麗な顔してるなと思った。
少しきりっとしてるから気高そうに見えて取っ付き難いかと思ってたけどそんなことはなくて、話しやすくてよく笑って、サバサバしてて女子からもモテるようなそんな格好いい奴。
若菜と仲良くなるのに時間はそうかからなくて席が隣なこともあってすぐに打ち解けた。
当時は普通に女の子と遊んでいた俺は付き合わないとそういうことしない!と真面目な若菜によく怒られてた。
「ほんとそういうのやめなよ…」
「うるさいなあ…あっちから声掛けてきてその気なんだからいいじゃん別に」
「よくないの!全く…そういう所だらしないんだから」
机に突っ伏してると若菜がぷんぷんしながら突っかかってきて面倒くさくて顔を反対に背ける。
別に関係ないだろ…
今考えるとこのころから相当乱れた生活してたな、と思う。
そういうことをするとやたらと若菜が怒ってくるのが怠くて、近づいてきた腕を掴んで若菜を見上げた。
「何でそんなに突っかかんの?俺のこと好きだったりする?…なーんて…」
ほんの冗談だった。
きっと「そんなわけないでしょバカ!」っていつもみたいに怒られて叩かれるだろうなって思って身構えてたのにいつまで経ってもその衝撃は来なくて不思議に思って顔を見て息が止まった。
いつも冷静で余裕そうな顔が、見たことないくらい弱々しい表情をしてた。
「…え」
何その反応
そんな顔するのかよお前…
「っ…そんなわけないでしょ…!」
「痛?!」
けどすぐバシッ!と頭を叩かれて力が緩んだ隙に逃げられてしまった。
俺は予想外の反応にしばらく固まってしまった。
…あれは、ちょっときた。
久しぶりに感じた胸の高鳴りに戸惑ったけど、同時に欲しくて堪らなくなった。
入学して二ヶ月。一緒にいる時間は多かったけど、あんな可愛い顔するなんて知らなかったな…
それを知ってから寄ってくる女とかそんなのに興味がなくなってしまった。責任取れよ…ったく…
あれ以来あからさまに避け続ける若菜を強引に捕まえて人気のない教室に連れてって逃げ場をなくす。
「…なによ」
「それはこっちのセリフ、なんで急に避けるかな…」
「…それは…その…ごめん」
真面目な若菜は素直に謝った。
小さくなって気まずそうに目を逸らす若菜を壁に追い詰める。
「ねえ、この間のあれ何?」
「…何が」
「俺のこと好きなのって聞いた時、なんであんな顔したの」
頬に触れると大袈裟なまでに肩をビクつかせて目が合った。
小動物みたい。
…可愛い、なんて思った。
「顔赤くしてさ…そんなふうに」
「し、てないよ…」
「してる」
じっと覗き込んでるときゅっと唇を結んで首を振るだけ。
…あー、やばいかも。
「言ってよ若菜」
そう告げるとしばらく下を向いて意を決したように俺を見上げた。
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