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その日三人で遊んでいる間は若菜から連絡は来なくてやっぱり捨てられてしまったかな…と思って諦めかけていた。
「お待たせ。寒かったでしょ」
「んーん、大丈夫」
店の外で待ってるとお客さんから貰ったっていうマフラーをぐるぐるに巻いて顔が埋まってる玖音が出てきて笑った。
「せっかくセットしてるのに髪ぐしゃぐしゃだぞ」
「帰るだけだしいいの」
しばらくして人気がなくなるとぎゅっと手を握られて家までを歩いた。
…好きだな
隣を歩く人を見てふっとそう思った。
ブー…ブー…
「和くん携帯鳴ってるよ?」
「…え、ああ…」
ポッケの中で震えてるバイブ音に玖音が反応して取りやすいように手を離された。
…何となく、今出たらダメじゃないかと思って気付かないふりをしてたんだけど玖音にそう言われたら出るしかない…
画面に表示される番号は電話帳に登録してる誰でもなくて、市外局番とかもない携帯の番号。
…つまりは、きっと
「…もしもし」
『…和?…わたし、若菜』
電話越しに聞く若菜の声。
よく夜中に電話してたあの頃を思い出す。
ぎゅ…ぅっと胸が締め付けられる。
「…おう、ありがとう。連絡してくれて」
『うんん、こっちこそ遅くなってごめんね…中々勇気でなくて』
「いや…そうだよな、ごめん。ありがとう」
『今…話せるの?』
そう言われてちらっと横を見ると玖音の目がじっと俺を見つめてた。
「…ごめん、今は無理。LINE追加してもいいか?…今度そっちで決めよ」
『…ん、わかった。また、ね』
「おう」
電子音が聞こえて、耳から離して息を吐く。
何となく玖音の顔が見れなくてぎゅっと再度手を握った。
「…玖音にね、話しておきたいことあるんだ」
「うん」
「帰ったら、聞いてくれる?」
どんな顔してたのだろう。
玖音は無理矢理顔を合わせようとはしなくて目が見れない俺の手を優しく握り返して「いいよ」って言ってくれた。
優しいその手を掴んでおくので精いっぱいだった。
何度も来てるはずの玖音の部屋に入ることがひどく緊張していつもなら並んでソファに座るのにその正面に正座して座った。
いつもと違う雰囲気に玖音も茶化そうとしないで真面目な顔をした。
「それで、何のお話」
「……あのね、…さっきの電話の人の話」
「うん」
「…前の学校の…玖音を好きになる前に、付き合ってた人なんだ」
たどたどしくだけど、
若菜と今日偶然会ったこと、その人は前の恋人で何も言わずに別れてしまったことをずっとどこかで後悔していたこと…ちゃんと話したいと思って連絡先を交換したこと、
俺が男とするようになったきっかけ。
確かに昔は好きだったけど、今は玖音の事が好きで何にもないこと。
全部伝えた。
俺が思ってる今の気持ち全て。
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