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「…おっかしいな…」
玖音の家まで最寄りの駅で降りて歩きながらスマホを弄る。
電車に乗る前に一応連絡しようと思って電話したけど出なくて、メッセージも入れておいたけど既読にならないままだった。
けどバイトまでまだあるし多分家にいるはず。
合鍵は置いてきてしまってたから下のオートロックのとこでインターホンを鳴らそうと考えてたら少し先に丁度よく中に入ろうとしてる同い年くらいの女の子がいたから流れで一緒に入った。
「何階ですか?」
「あ、8階でお願いします」
「はーい」
エレベーターに乗り込むとボタンの前に立ってわざわざ聞いてくれたけど目的の階数が一緒だったみたいでそのまま沈黙が流れる。
なんとなく気になって少し後ろからその子を見つめた。
(…派手だな)
高校生かな?…にしても凄いな、髪の毛がもう金髪みたいな明るい色で何センチあるんだろうって思う厚底を颯爽と着こなして…高校生らしくないきらびやかな見た目に目がチカチカする。
まあ高校生らしくない髪色してるのはアイツもだけど。
そんなことを考えてたらすぐ8階について俺に向かってぺこりと軽くお辞儀をして先に出て行った。
あんな見た目だけど礼儀正しい…
にしてもここもよく来るけどあんな子初めて見たなあ…なんて思いながらエレベーターから一歩踏み出して玖音の部屋の方向に身体を向けた。
瞬間足が止まった。
「…え」
だってその女の子がインターホンを鳴らした先の部屋は
…間違いなく玖音の部屋だったから。
俺の声に反応してぱっとこっちに視線が向けられた。
よく見たら可愛らしい雰囲気を纏った彼女に、ドクンと心臓が締め付けられた。
玖音が家に女の子入れるなんて聞いたことない。
絶対そんな事しない。
そう思うのに…どうしても拭いきれない不安。
だって今日は…予定のあとバイトだからお泊まりは次の日でもいい?って言われてたから。
その予定は何かなんて気にしてなかったけどまさかこの子と何か…
「…あの、何ですか」
「っ…」
不思議そうに、少し警戒するような視線を向けられて声をかけられてもすぐに返せない。
エレベーターも下がっていき、前にも後ろにも進めない状態の中でガチャ、と鍵の開く音がしてドアが開いた。
その子は視線をドアの中に戻した。ぱあっと顔が明るくなる。
中からだるそうに出てきたのは風呂上がりなのか髪が少し濡れて上半身裸で無防備で完全オフモードの玖音の姿だった。
…そんな姿見せれるほど親密だってこと?
「遅せぇよ、この後仕事あるって言っといたろ?」
「ごめんごめんごー」
着飾ってない口調や雰囲気に、足が竦む。
…どうしよう、俺今ここにいちゃいけないんじゃ…
気がつけば後ろ手にボタンを押してエレベーターを呼んでいた。
早く、とりあえず、帰らなきゃ…
けど目を逸らす事もできなくて動けずにいた。
何故かそういう時に限ってやらかしてしまうもので、
後ろに下がりすぎてエレベーターのドアに当たって鈍い音がフロアに響いた。
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