アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
.
-
頭が冷静になって、同時に頬が熱くなっていくのがわかった。
「…っ〜…!」
瞬間めちゃくちゃ恥ずかしくて不甲斐なくて俯いて髪を掻き乱す。
(勝手に思い込んで嫉妬して…挙句怪我するなんて…!)
「…だっせ…」
「…ふふ」
いたたまれなくて膝を抱えて顔を埋めたら身体ごと抱き寄せられて風呂上がりのふわふわした匂いに包まれて落ち着く…
風呂上がり…?
「っくしゅ…っ」
「…てかお前裸じゃん!!なんて格好で飛び出してきてんだよ…!」
くしゃみをして鼻をすすった玖音を見て風呂上がりでそのまま俺を追いかけて来てくれたのを思い出した。
いくら暖かくなってきたからって言ってもまだ肌寒いから風呂上がりなんてすぐ湯冷めしてしまう。
慌てて自分の上着を剥いで肩にかけてやった。
「バカ…風邪引くだろ」
「だっていきなり逃げ出すから」
「…それは…」
「僕和くんに後ろめたい事なんてしてないよ」
「…わかってる、よ…」
改めて思った。
付き合って結構経つけど俺…玖音の事まだまだわからないことだらけなんだって。
妹いるなんて知らなかったし、なんで一年遅れたのとか、いつからライトさんのとこで働いてるのとか
…背中の傷は何があったの、とか。
何となく聞いちゃいけないと思って聞かないようにしてた。
すぐ不安になってしまうのは
玖音のことが大好きだから。
好きすぎて少しのことだけで不安になって…勝手に空回って、
いつもそれを助けてくれるのは
いつも汲み上げてくれるのは
玖音本人だけ。
きゅっと唇を噛んで俯いたら玖音が少しだけ息を吐いて髪をぐしゃぐしゃに乱された。
「…無理ないか」
聞こえるか聞こえないか、
小さな声だったけど確かにそう聞こえた。
反射的に顔を上げたらその顔は酷く寂しそうに見えて胸がざわめく。
何となくいつもと違う雰囲気に胸騒ぎがしてただ見つめ合った。
ふっと眉を下げて笑って俺の手を引いて立ち上がった。
「戻ろ?」
「…でも」
「一緒にいたい」
だめ?なんて首を傾けて甘えてくる。
そんな甘い台詞。断れるわけない。
指を絡ませるように握れば優しく握り返されて駆け下りてきた階段を戻った。
玖音の過去がどんなものかなんて、
俺は全然知らなかったんだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
255 / 265