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逃げられないと悟った俺は大きく息を吸って時音ちゃんを見た。
…どうせいつか言わなきゃいけないことだ。ましてや玖音の家族なんだから…いつまでも黙ってるわけにいかない。
それこそ、ずっと一緒にいたいと願うなら…
「…うん、ごめんね。友達じゃない。…付き合ってる」
意を決してそういうと少しだけ目が大きくなって驚いた顔をした。半信半疑なところはあったんだろう。
…やっぱり、変だって思われちゃうかな。
俺が玖音をホモと呼ばれるものに巻き込んでしまったから少しだけ後ろめたさはあって、けどそれでも好きでいてくれるのが嬉しくて結局はよかったって思ってるけど…
自分の兄がそうなるなんて、多分思ってもなかっただろう。
「…恋人?」
戸惑う声に罵られる覚悟をして目を強く瞑った。
けどいつまで経っても罵倒も何もなくて恐る恐る時音ちゃんを見たら凄く困惑した顔をしていた。
「…時音ちゃん…?」
「……おにいが、恋人…」
少しだけ違和感を感じた。
その戸惑いは男と付き合ってることに対してじゃない気がした。
…恋人がいる、その事に驚いてるのか?
別におかしい事じゃないと思う。
男ってのが規格外なだけで、彼女のひとりやふたり(?)いたっておかしくないモテ方してるのに…妹の時音ちゃんがそれを知らないはずもないのに、どうしてそんなに驚くんだろう。
「黒田和さん、って言いましたよね」
「あ、うん…」
「うちのことどこまで知ってるんですか」
…うちのこと?
知らない。全然何も。
その質問の意図もわからず、本当のことを伝えた。
「…ごめん、ほとんど知らない。妹がいるってことも今日初めて知った」
「……そうですか」
彼女はそういうと黙り込んでしまった。
沈黙が流れて何も言えないでいると俺の横を通り過ぎて部屋に入り忘れ物を手に取って玄関に戻ってきた。
靴を履き直して振り向きながら目を細めて俺を見た。
「だったら知る前に別れてください」
さっきまでと違う冷たい声に、内容に
俺はただ立ち尽くすことしか出来なかった。
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