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出会い
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木兎「あかーーしーー!」
あ、また生えてる…。
トスを上げる瞬間、木兎さんに翼のようなものが見えるときがある。そんな時は決まってキマる。
高校入学後、バレーを続けようか迷っていたときになんとなく覗いたバレー部の練習。体験入部の日はまだで、ただほんとに気まぐれで体育館を視界に入れただけ。
木兎「へいへいへーい!」
勝手に焦点が彼に合っていた。
無邪気にジャンプする姿とは裏腹にそれはまるで凶器のような、的(獲物)を打ち抜くような、美しいスパイク。
赤葦「上げたい」
俺の声が聞こえてしまったのか?
聞こえるはずもないのに、彼は俺を視界に捉えた。
「お前セッター?上げてくんね?」
昔からバレーはやってたけど彼は俺の存在は知らなかっただろう。中学の頃すごいスパイカーがいるな、という認知はしていたが、まさか梟谷にいたとは。
しかもあの頃とは比べ物にならないくらい威力も増してる。
故障とかでできなくなって腐るのは嫌だったからバレーで高校を決めるのは避けていた。でも最近梟谷が一段と強いのは知ってて興味があったし進学率も悪くないし、近くはないけど遠くもないし、ほんとに普通の理由。
だからこそ、こんなにゾクゾクするスパイクを打つこの翼の生えた人との出会いが奇跡のように感じて
赤葦「はい、上げてみたいです」
これが出会い。
あの時は木兎さんにお前うまいな!でもまだまだだな!うちにくい!とか文句言われてただすみませんと謝罪して…
この人想像と違うなと思いながらも自主練必死にして1年の後半には木兎さんからのお墨付きをいただいた
木兎「3年のセッター引退したらお前上げろ、超打ちやすい!俺が光る!かっけえ!」
自分が上げるトスでエースが輝けるのかと、この言葉がいまでも糧になる。
俺が2年に上がって恒例の合同練習でも即戦力として試合に出るようになった。木兎さんのお世話係的なポジションが担えるらしく副主将にまで上り詰めてしまった。
やっぱり木兎さんはどのスパイカーよりも威力も技術も数倍上、かっこいい。
木兎さんの実力なのだから自画自賛とまでいかないが、少なからず貢献できていることに俺は誇りを持っている。
でもまだ俺は木兎さんに対して未知の感情があると感じている。木兎さんにもっと俺を認めて欲しい、よくわからないけど色々。
黒尾「御宅のセッター君、冷静でやになるねぇ。なんというかいい意味で気配を消してるというか。たまに挑発に乗るとこはあるけど」
木兎「いや!それを言うなら孤爪もすんげーぞ!」
黒尾「俺のとこのはもちろん冷静ですげえけど、気配はあるんだよね、こう、異様なの放ってるだろ」
孤爪「クロ、うるさい、放ってない」
黒尾さん、この人が主将になるんだろうなとは去年から思っていた。
主将就任後、音駒のまとまりが固くなった。
とても包容力のある人だと思うしチームを引っ張れる誰もが認める絶対的主将の素質。
そして木兎さんのスパイクも、素早いリードブロックと読みでしばしばドシャットしてくるから少しムカつく人でもある。
この人たちとは毎回合同の時は自主練は同じ。
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