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「ん…。ん~っと、ゲーム。」
白摩の返答に、幼馴染は美貌を歪める。
「夜更かしはよくない。おばさんに心配をかけちゃ、駄目じゃないか。…あと、明日は卒業式だから、絶対に学校に行けよ。」
佐々と白摩は共に大学四年。明日は卒業式だった。白摩は視線を横にそらし、低く唸りながら曖昧に答える。
「あ~…。まぁ、気が向いたら。」
「気が向いたら、じゃない。」
腕組みした佐々は、眉根を寄せて幼馴染に注意をする。
「お前、いっつも同じ答えをするじゃないか。え??なら、これからどうするつもりだ??」
「…ど、どうって…。」
幼馴染の厳しい表情に弱い白摩は、急に狼狽え出す。困惑している白摩に、相手はここぞとばかりに畳み掛けてくる。
「就職だよ!!お前、まだ決まっていないんだろう??」
「う、うるせぇな。な、何とかなるだろ。その内…。」
「何とか??」
途端に、普段は温和な佐々の目尻が釣り上がっていく。
「何とか!?お前、卒業単位の時と同じことを抜かしていなかったか??僕があの時、どんな思いで先生方に頭を下げたかわかってんのか!?思いが通じたからこそ、お前は卒業出来たんだ。先生方に感謝を言いに回らなくたっていい。せめて、卒業式だけはきちんと出席するんだ。」
白摩は慌てて、手近にあった枕を胸の前で抱きしめる。
「み、ミチとの約束は守るよ…。」
佐々は小さく肩を落とす。
「僕のためじゃない、お前のためだよ。…ハル。」
愛称で呼ばれると、白摩は恥ずかしさに深く俯いてしまう。佐々に呼ばれるだけで、幼馴染はたまらない気持ちになる。
「わ、わかっているよ。」
佐々の口調が一段と柔らかくなる。
「ハル。…今日は、睡眠薬なんて部屋にないな??今夜は、カミソリなんて握っちゃ駄目だからな??」
佐々に諭され、幼馴染は膨れっ面になる。
「わ、わかっているってば…。そ、そりゃ優秀なミチにはわかんないだろうさ。」
鼻をフンと鳴らして、白摩は続ける。
「…どうせ、アレだろ??俺に気を遣って報告していないだけで、ミチは就職先なんてとっくに決まっているんだろ!?」
幼馴染は図星を言い当てられたからか。動揺しているのが見て取れた。
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