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白摩は絶句し、目を剥く。
『…おい、ハル!!聞こえているか、ハル!!命は天からの授かりものなんだぞ!!ハル!!』
確かに佐々が生きろ、というから自分は嫌々生きているつもりだった。じゃあ、何故この世に縛り付ける存在がいなくなっても、自分は生きるという選択肢を捨てようとはしないのだろう。峯ヶ屋に会いに行ったのだろう。
「つ…使おうとなんて、してない。」
反論する声が、無様に震えていた。
「アンタは、佐々先輩を利用している。」
堪忍袋の緒が切れて、白摩は咄嗟に立ち上がる。
「ミ…ッ、ミチの気持ちがお前にわかるのか!?俺は、ミチに直接会って確かめる!!」
後輩は澄ました表情を左右に振る。
「…佐々先輩とは、会うべきではないと思います。」
昔の姿を見るだけで、泣くほど嬉しいんでしょう、と後輩は続ける。
「会いたいんでしょう。好きなんでしょう。」
でもそれって、と榎野の静かな双眸が白摩を射抜く。
「依存している、証なんじゃないですか。」
「…。」
白摩は稲妻に打たれたような心持ちになる。依存、中毒、続けてはいけない関係。
「え、榎野!!言い過ぎだろ!!」
先輩に諭され、榎野は両肩を下げる。ややあって、お手洗いお借りします、と場所を聞かずにいそいそと部屋を出て行ってしまう。
残された二人は、気まずそうに互いを見て…先に口を開いたのは、楠田だった。
「え…、榎野の奴が失礼なことばっか言ってごめん。」
アイツ、冷たいとこあるけど根はいい奴なんだ、楠田が言い終えた際だった。
二階、白摩の自室からドンガラガッシャーンと派手な音が響く。
「…なに??」
「行ってみようぜ!!」
駆け出す楠田に、乗り気ではないが自室に何かあったらと白摩もついていく。
自室で引っ繰り返っていたのは、榎野だった。白摩の部屋に散乱していたゴミに塗れている。
「…榎野ォォォ~??」
真っ先に目尻を釣り上げたのは、部屋の主ではなく連れである楠田だった。ゴミ塗れの後輩はというと、年上の男から目をそらしてフンと鼻を鳴らす。
「…だって、白摩さん俺らのこと”キモッ”って言ったわりに佐々先輩と凄く距離近いし…。お仲間かもしれないと思って、趣味探るためにエロ本を漁ろうとしたら…すっ転んだ。」
白摩は、榎野の足元にパソコン充電用のコードが落ちているのに気づく。どうやら、榎野はコードに引っかかって転倒したらしい。
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