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平野
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ホテルのドアが閉まる音で目が覚めた。
まさか、
テーブルの上に置かれたお金に気付き、時計に目をやると深夜0時。麗くんの荷物が無いことを確認すると追いかける為に慌てて部屋を飛び出した。
黙って帰るような子だろうか?
いや、絶対にそれは無いと思った。出逢って数時間だがそれくらいは分かる。
部屋がオートロックだということは頭の中にあったが、支払いをしている間に麗くんを見失ってしまう気がして構わず部屋を出た。
ホテルを出るとすぐに麗くんを見つけ思わず腕を掴んだ。この手を離したらもう二度と会えなくなるような気がした。
ずっと顔を背けていた麗くんが、俺の言葉を否定するためにこちらを向いた瞬間思わず息を呑んだ。今にも大粒の涙が零れ落ちそうな瞳、力の入った口元、強ばった身体。決して涙を零さぬまいとする姿が酷く痛々しい。
数時間前まで、自分を醜いと責め泣いていた麗くんだった。ひどく心が傷んだが、不謹慎なことに綺麗だと思った。そして何も伝えられていない自分に嫌気がさした。
人目も気にせず、沢山泣いて良いと今すぐに抱きしめたい。が衝動を抑え麗くんの手をひいて場所を移動する。
車の鍵を麗くんに預け支払いをするためホテルへと戻る。
鍵を渡した際、麗くんが何か言いかけたが予想はついたし、麗くんの言葉をちゃんと聴いてあげる余裕がなかった。
こんなに格好悪いのは久しぶりだ。
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