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始業式-2
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「おお!やっと揃ったか。おはよう」
「父さん……なんで居るんだよ。今年の式典は中等部に参加するはずだろう?」
「あぁ、その事なんだけどね、ちゃんと連絡しておきたい事があって……来月から出張でここにずっと居られなくなったんだ。期間は半年くらいかな?すぐに帰ってこれるけど、いつまでも理事長を不在にするわけにも行かないから代理を立てることにしたんだ」
優しく、安心する声でとんでもないことを仰るのは毎回の事で、それに振り回されるのは息子である奏様。
「今まで出張なんて行ったことなかったじゃないか!なんで今なんだよ!?」
「たまには、ね。本社のことも少しだけ頼むよ奏。早く父さんに楽をさせてくれ」
「どういう心情の変化だよ!?この学園のことでも忙しいのに、本社の仕事まで?俺を殺す気か!」
イライラしだす奏様とは違い、反応を見て楽しそうにしている湊様。
湊様はどんなに言い合おうとのらりくらりと躱してしまうお方で、真面目に取り合うほうが難しいのである。
奏様も頭では分かっているものの、そう上手くはいかないようだ。
「まあまあ、そんなに怒鳴ると老けるぞ。それに本社の仕事は力量に合わせてあるから、できないわけじゃないだろう?……一昨日出した課題ももう終わっている頃だと思うが?」
課題とは、次期当主として少しずつ仕事に慣れる為に湊様が特別に組んだ商談やプレゼンのレポートのことで、十神家が高等部になると課せられるもの。
奏様の課題は蓮様方よりも格段に多く、内容も濃い為奏様でなければ3日で終わらせられることは十神家ならば出来ない事もないが、難しいことは変わらない。
「それは……そうだけど。でもまだ終わってないし‥……」
「最近弛んでるんじゃないか?いつものお前なら一日で終わらせられるだろう。澪ちゃんに夢中なのはいいんだけどね、甘え過ぎも良くないよ。澪ちゃんも厳しくしてくれ」
「お言葉ですが、私は奏様を甘やかしたりはしていません。最近は学園の業務が忙しかった為、それを考慮し発言を控えておりました。………それと、私に夢中とはどういう事なのでしょうか?」
正直に甘やかしているということは無い為、そこはきちんと訂正しなければ仕事能力が問われると思った。
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