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大神 奏の独白-3 (side 奏)
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高等学部に入学したときに父さんに澪を俺の番として、嫁に迎えたいと相談した。
許嫁の事やαしかいない家系でΩ、まして発情期の来ないΩを受け入れてくれるのか心配だったし、もし受け入れてくれないのなら家を捨てる覚悟だってあった。
その心配は杞憂に終わる。
いつの間にか父さんと母さん、雅さんとその奥さんの間では許嫁契約を破棄し澪を番に宛てがう予定だというのだ。
美しさはもちろん、人としても素晴らしい澪の他に俺にふさわしい人はいないと言ってくれた。
……というか、俺が澪を好きな事が尽くバレていた………恥ずかしい……。
それからは早く告白をしろ、番になって澪を守れ、安心させてやれ、そんな小言を毎週言われるようになったのだが1年たった今でも言えない俺はそろそろ自分自身に嫌気がさす。
3月に入り、急にフェロモンの量が増した澪。
発情期が来て他のαを誘惑する前に早く、伝えなければ。
だがどうしたら澪は義務感なんかじゃなく、本当に俺を心から好きになってくれるのか。
「澪、俺はお前が……好きなんだ」
眠っている間にしか面と向かって言えない。
澪の頬をなで、熱がないことを確認してから音を立てずに部屋を出る。
リビングには運ばせた食堂の料理があった。
澪の意識がない以上、食べられるものはこれしかない。
冷蔵庫を開けたところで食材の名前なんて分からんし、お湯の沸かし方もいまひとつ。
作り置きが有るだろうが、温め方を知らない。
さっと食事を済ませ、お茶会の延期を澪の
親衛隊に通達する。
途端に心配するメールが大量に届いたが一斉返信でそっとしておいてやれと送り、風呂に入ろうとするが沸かし方が分からない。
しょうがないので冷たいシャワーだけで済ます。
持ち帰った書類を机に広げるとその間に白い差出人のない封筒が目に入る。
それは澪に当てられたもので、中には大量の澪を写した写真とワープロで打たれた澪への愛を囁く手紙が数枚。
句読点がなく、一番小さい文字サイズで隙間なくみっちりと書かれたそれは明らかな異常を示し、80枚は有るだろう写真には一緒に写った俺や他の生徒を鋭利な物でズタズタに裂かれていた。
これが今一番の問題だ。
月に1回の頻度で送られて来るが、その相手は指紋を残さず、監視カメラにも映ら無い。
何度か封筒を持っているやつを捕まえたが、渡してほしいと書かれたメモが机に入っていただけだと言い、それはすべて事実だった。
大神、夜神、守神の3家の力を使っても犯人は見つからず仕舞い。
恐ろしいのは、写真がすべて場所も年齢もバラバラだということ。
俺が会ったばかりの頃の幼い時期の写真は勿論、最近の写真まであった。
このストーカーはいつから澪を見ている?
何故手を出してこない?
疑問ばかりが頭を埋める。
澪がこれを初めて受け取ったのは中等部に上がる頃で、怖がる澪を直ぐに俺は安心させるために、今だに封筒が届いていることを隠して解決したと言い、秘密裏に犯人探しをし続けていた。
澪に告白する前に、片付けなければ。
万全の状態で澪を番に迎えたい。
「ふぅ………」
最後に澪の様子を確認してから、ベッドルームへ入った。
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