アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
別れ-6
-
心が引き裂かれたようにズキズキと痛む。
重怠い体を引き摺り、誰の気配もしない廊下を進む。
警備員の5人は夜中の一時迄巡回しているが、それから朝6時迄は監視カメラのみの警備になる。
ただしエントランスには監視カメラのみのときは自動ドアでなくなる為、ドアマン兼警備として一人だけ立っている。
今はまだ日が昇る気配も無い明け方の4時。
たとえ事情を聞かれても仕事があると言えば生徒会副会長である私はすんなりと通れる。
今までだってそう言うことが何度かあったから、誰も疑いはしない。
フロントに出ると、案の上警備員の一人が自動ドアの隅に立っていて私に気づく。
「おはようございます宝生様…って、まだ早過ぎますね。今日は生徒会のお仕事でございますか?」
「はい、少し資料を忘れたので、本家に戻る前に持っておかねばと思いまして……いつもご苦労さまです、これからも奏様方を宜しくお願い致します」
「当たり前のことを仰らないでください!僕はこの仕事に誇りを持っているので……でも、ありがとうございます。宝生様からそう言って頂けると嬉しい限りです!」
20代で最高峰の警備を行わなければならないこの学園に一警備員として、しかも全生徒が集まる寮棟の警備につけるなど至難の業だ。
この好青年は茶髪に赤いリング状のピアスをしていて一見チャラそうに見えるが、人は見かけによらない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
77 / 523