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「ご挨拶が遅れてすいません。僕はセルと言います。今回は依頼を受けて頂きありがとうございます」
あの後一旦家に帰ったセルは翌日氷雨を迎えに来た。セルが住んでいるという57階フロアに行くために転移石に向かう。
転移石は、他のフロアに移動する為に使用する石で行きたいフロアの階数を指でなぞる事で転移する事が出来る。ただし、行ける階はそのフロアのボスを倒してある事が最低条件になる。誰かが倒せば良いというわけではなく、自らボスを倒すか自分が所属するチームが倒す事が次の階への通過条件となる。
「今更ですけど気分屋さんは、57階も行けますよね?」
「あぁ、仕事上な」
仕事上、色んな階に行ける様に解放されたフロアの大体を氷雨はクリアしている。
「それなら、良かったです」
「見た所セルは先住民か?」
10代後半位の見た目のセルだが、体つきが細く肌が白い。とてもじゃないが、強そうには見えない。
「はい。僕の家は、腕が立つ知人に連れられ57階に移り住んだんです」
この塔ではよくある事で力が及ばない民は、腕が立つギルドや引越し屋と言われる業者、知人に助けて貰い住みたいフロアに移り住んでいる者が多い。
「その腕が立つ知人に今回も助けて貰えば良かったんじゃないのか?」
セルはくしゃりと苦笑した。
「実は、もうお願いしたんです。だけど、あの森には入りたくないと断られてしまって…それでギルドにもお願いしてみたんですが、ウルドの産卵期とかで今入り込むのは難しいと言われてしまいました…」
ウルドとは、森に多く生息する魔獣の事で一体一体は大して強くないが群れで生活し数で攻めてくるのが特徴的な魔獣である。そして、産卵期となれば殺気立ったウルドに囲まれ痛手を負うのがオチだろう。
「なるほどな〜。それで俺に依頼したと?」
「はい…気分屋さんだったら力になってくれるのではないかとお聞きしたもので…」
「まー正直いうと気乗りしないが、大切な家族なんだろ?その使い魔」
「はい!凄く凄く大切です!」
「じゃーやるしかないだろ?」
ニヤリと氷雨が笑うとセルはありがとうございます!と大きな声で言った。
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