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女の子は、満足したのかにこにこと笑っている。
「お姉さんは、魔法使いさん?」
「うーん、そんなところかな?」
「何か出来る?」
力はあまり使いたくないが、女の子のキラキラした目には逆らえない。
ポンっと花を一輪出して女の子に渡す。
「はい、どーぞ」
「わぁ、ありがとう」
満面の笑みでその花を受け取り胸に大事に抱える。
「アユもね、魔法使いになりたい」
アユと言う名前なのか?と思いながら一生懸命語る女の子に相槌をうつ。
「でもね、アユ体が弱いから向いてないんだって」
しゅんと悲しそうに項垂れる女の子に今度は氷雨が頭を撫でてあげる。
「でも、好きなんでしょ?魔法?」
「うん!大好き」
「そしたら、諦めたらダメだよ。確かに先住民の君たちは、魔法の適応能力が比較的低い傾向があるけど、使えないわけじゃないでしょ?」
「でも、ママやパパが反対するの」
「お母さんや、お父さんは、アユちゃんに幸せな暮らしを望んでいるのかもね?」
「幸せな暮らし?」
「そう。魔法を覚えるのは大変な事だからね。思うように結果が出なくて諦めてしまう人や落ち込んでしまう人が大勢いるんだ。そんな思いをアユちゃんにして貰いたくないのかも」
お母さんやお父さんの事が好きなのだろう。どうしようかとあぐねている様子だ。
「でもね、努力を惜しんでしまったら何も手に入れられないよ?頑張ったら必ず結果がついてくる。お母さん、お父さんの意見も大事だけど最後どうするのか決めるのはアユちゃんだからね?自分がどうしたいのか素直になって決めて良いと思うよ」
「うん、分かった」
「どうしても、魔法が出来ないとかつまづいた時は気分屋を訪ねておいで?」
「きぶん…や?」
しーと人差し指を顔の前に立てる。
「これは、アユちゃんと2人だけの秘密。必ず役に立つと思うから。困ったらおいで?」
「うん!ありがと、お姉さん」
今日1番の可愛らしい笑顔を向け少女は去って行った。
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