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「それから、ロベルト様は徹底的に彼を指導しました。自分に刃向かう気など起こさない様に。そして情がわかない様に彼の名前を呼ぶ事を私共に禁じました」
名前も呼んでもらえない。誰も助けてくれない。そんな中生きてきたあいつは、どんなに苦しかっただろうか?どんなに悲しかっただろうか?
漆黒の狼の事を思うと胸が苦しくなる。彼は、ロベルトに認めてもらう為に強くなったのであろう。先住民である彼がここまで強くなったのは尋常じゃない努力の結果だ。
「あいつの名前はなんて言うんだ?」
「サイモン…にございます」
「そうか、ありがと」
氷雨は一度通り過ぎた漆黒の狼の元に行くと視線が合う様にしゃがみ込んだ。
「サイモン、お前との戦いは楽しかったよ。また、戦おうな」
ぽんぽんとサイモンの頭を優しく撫で微笑んだ。すると彼は氷雨を見つめながら無言でポロポロと涙を流したのであった。
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