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気絶したロベルトの腹の穴を閉じるとロベルトのオモチャの中にあった手錠で拘束し地下牢へと運ばれた。
地下牢に閉じ込められていた侍女とハンスは、解放されアンドレアと再会を果たした。
そんな光景をヨンヒと共に遠くから眺める氷雨。
「ヨンヒさんはいいのか?あそこの輪に入らなくて?」
「はい、主人との時間はこれから充分にありますので」
「それもそうだな。それにしても何であんたら3人だけ、地下牢に入れられていたんだ?あのタヌキなら即死刑かオモチャにしてそうだけど」
「それは、ハンスは氷雨様と同じ移住民でありますから殺しても意味がないと思い地下牢で拘束していたのかと。そして、ユリアはアンドレア様付きの侍女なのですが、精霊とのハーフでして精霊の加護を恐れ地下牢に閉じ込めたのかと」
精霊の加護。不思議な力を持った精霊は、外敵から危害を受けると精霊の加護が生じ相手に呪いをかけると言われている。呪いの効果は様々だが、当人にとって最も良くない呪いがかかる事になっている。その為精霊に手を出す者はまずいない。
「なるほどな。ヨンヒさんは?出来が良いから殺すのが惜しかったとか?」
「恐れながらその通りでございます」
お茶目に微笑むヨンヒを見て腹を抱えて笑う氷雨。
「確かに有能だもんな。俺の執事になる?」
「身に余るお言葉ですが…「私の執事を引き抜くのは辞めて下さい。氷雨さん」
「お?主人が出てきた」
感動の再会を済ませたアンドレアとハンス、ユリアが2人の元に寄ってきた。3人の顔はどこかすっきりとしている。
「浮気は辞めてくれよ、ヨンヒ?これから忙しくなるんだ。休んでいた分バリバリ働いてもらわなくては」
「存じております。私は生涯主人様にお仕えいたします」
「ああ、よろしく頼むよ」
「ヨンヒ様だけではありませんよ!俺もアンドレア様に生涯お仕えします」
負けじとハンスが出てきた。
「私も負けてません!」
ユリアがふんっと拳を握り小さく両手でガッツポーズをする。
何とも微笑ましい光景だ。実の親であるロベルトに愛される事は無かったが、ヨンヒ達に慕われ見守られてきたアンドレアは実の家族のように深い愛情のおかげでここまで立派に育ったのであろう。
「今回は、氷雨さんのおかげで助かりました。何とお礼を言えば良いのか分かりません」
「そんな堅っ苦しい言葉はいらねーよ。俺は報酬さえ貰えれば良い。そして、お前が…お前たちがこの国を立ち直すのを未来報酬として期待してる」
「勿論です。この国を先代より、いえ、歴代で一番良い国にしてみせます。ですが…申し訳ありません、氷雨さん。氷雨さんの報酬はソルビルさんに全て渡してしまいました」
「はっ?ソルビルは、どこにいる!?」
「ソルビルさんなら、まだ城内にいるかと…」
「くそっ!悪りぃ、あいつ探してくる!」
「おいこら!アンドレア様が話してるのに失礼だぞ!」
「すまん!また後でな!」
氷雨はアンドレア達に大きく手を振ると城内へと消えて行った。
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